反旗ひるがえしたデサント、いらだつ伊藤忠 半世紀の仲はなぜ壊れたか

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創業家の社長復帰とともに関係変化

   だが、デサントは猛反発している。韓国事業への過度な依存については「日本事業も収益力を高め、中国も第3の柱に育ちつつある」とし、伊藤忠の指摘は事実と異なると主張。ワコールとの提携については「取締役会で適法かつ適切な情報提供の上、十分な審議を行った」、MBOについても「具体的な検討には至っておらず、合理的範囲で負債調達を行うことが前提」として、伊藤忠の主張を「恣意的で悪意に満ちている」と非難した。

   さらに買い付け株式数に上限を設けていることから「最小限の資金で、実質的に支配しようとしている」と主張。他にも、伊藤忠の利益を優先した経営体制・方針になりかねない▽デサント、伊藤忠双方から独立した社外取締役、社外監査役の計4人全員が公開買い付けに反対を表明している――と「反伊藤忠」の姿勢を取ることに理解を求めた。

   伊藤忠とデサントとの付き合いは古い。伊藤忠は1971年にデサントに資本参加し、1980年代に筆頭株主となった。米ゴルフウェア「マンシングウェア」の過剰在庫が膨らんだ1984年と、アディダスとのライセンス契約終了後の1998年に、デサントは経営難に陥ったが、伊藤忠は役員を派遣するなどして救済してきた経緯があり、2013年まで伊藤忠出身の社長が3代続いた。

   ところが創業家の石本氏が2013年に社長に就任すると、伊藤忠出身の取締役は代表権を外され徐々に疎遠に。2018年7月以降、伊藤忠がデサント株の保有比率を事前相談なしに25%から段階的に買い増してプレッシャーをかけたほか、伊藤忠の岡藤正広会長兼最高経営責任者(CEO)が石本社長を「恫喝」しているやりとりが週刊文春に報じられるなど、関係はこじれにこじれていた。

   既に3割超の株式を保有する伊藤忠が、重要議案の拒否権を握る3分の1超の株を集めるのは難しくなさそうだ。だが、その後、どのようにデサントを制御していくのかは、みえない。伊藤忠の「力量」が問われている。

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