北朝鮮は2019年2月8日、朝鮮人民軍の「創建記念日」を迎えた。平昌(ピョンチャン)五輪の開会式を前日に控えていた18年の記念日には軍事パレードが行われ、軍最高司令官の金正恩・朝鮮労働党委員長は米国への非難を口にしたが、19年は一転、開催されなかった模様だ。
米朝関係をめぐっては、米国のトランプ大統領が2月5日(米東部時間)の一般教書演説で、2月27~28日にベトナムで首脳会談を行うと発表したばかり。朝鮮労働党の機関紙、労働新聞の社説からも対米非難が消えるなど、首脳会談に配慮した可能性がある。
2018年社説では「反米」が頻出ワードだった
朝鮮人民軍は1948年2月8日に創建され、当初はこの日を「創建記念日」としていたが、1978年以降は、金日成主席が満州で抗日パルチザンを結成した1932年4月25日に変更した。2018年になって「朝鮮人民革命軍を正規的革命武力に強化」した日だとして、「建軍節」を2月8日に再び戻し、4月25日を「朝鮮人民革命軍の創建日」に変更していた。
18年2月9日の労働新聞の社説では、
「米帝の南朝鮮占領と大々的な戦争の準備策動」
「反米闘争の最前線」
といった具合に「米帝」「反米」といった単語が頻出。さらに、
「米帝のどんな核の脅威も粉砕して対応できる核武力を保有し、決戦の準備を完璧に備えた人民軍」
などとして、核兵器の威力を誇示する文言もあった。だが、1年後の社説では「米帝」「反米」「核」といった単語は姿を消し、
「わが党が明らかにした軍事力強化の戦略的路線と課題を貫徹して、革命軍の威力、わが党の軍隊としての不敗の威力を誇示しなければならない」
などとするにとどめた。