平日に2回行われる菅義偉官房長官の定例会見をめぐり、東京新聞の望月衣塑子(いそこ)記者とみられる「特定の記者」が「問題行為」を行っているとして、会見を主催する官邸の記者クラブ(内閣記者会)に対して「問題意識の共有」を求める文書を首相官邸が送った問題。
官邸は米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設工事の際の土砂投入をめぐる望月記者の質問をめぐり「事実誤認」があったと主張しているが、望月記者は菅氏らが現地の状況を自ら確認し、土砂の検査結果を沖縄県に出すように指示すべきだ、などと反発している。
これまでもたびたび、その激しい応酬が注目を集めてきた望月記者と菅氏。会見場では、いったい何が起きていたのか。
「記者会見の意義が損なわれることを懸念」
官邸が特定記者の質問について申し入れするのは異例。文書では「東京新聞の特定の記者」と名指しを避けているが、問題視している質問からすると、これまでも菅氏に厳しい質問をぶつけている望月衣塑子(いそこ)記者のことを指すことは明らかだ。
文書は2018年12月28日、上村秀紀・官邸報道室長名で出された。12月26日の記者会見での望月記者の質問について、「事実誤認等」があったとする内容。望月記者について
「東京新聞側に対し、これまでも累次にわたり、事実に基づかない質問は厳に慎んでいただくようお願いしてきました。これに対し、同社からは、事実に基づく的確な質問を心掛けるよう同記者を指導していく旨の回答を繰り返し頂いてきましたが、にもかかわらず、再び事実に反する質問が行われたことは極めて遺憾です」
などと非難。「事実に反する質問」が動画で流れることで「官房長官記者会見の意義が損なわれることを懸念」するとして、「問題意識の共有」を求める一方で、
「記者の質問の権利に何らかの条件や制限を設けること等を意図したものではありません」
と主張している。