わかりにくい「統計国会」 経緯と論点を改めて整理しよう

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押さえておきたい「3つの論点」

   この問題は、いろいろな要素が絡み合ってはいるが、整理すると3つの論点がある。

第1に、なぜこのような不適切なことがされ、長年正されなかったのか。
第2に、事態発覚後の「お手盛り」ともいわれるような杜撰な調査。
第3に、不適切統計の数値で、安倍政権が重視する賃金の伸びが実態より過大になっていた。

   まず、統計自体の問題は、例えば全数調査をサンプル調査に改めるのが費用対効果の観点から合理的かもしれないとの指摘は少なくないが、手続きを踏まずに勝手に3分の1にしたのは弁解の余地がないし、さらに、サンプル調査にしながら、全数調査に近付けるための「修正」作業(データを3倍にする)を怠り、1年前から突然、密かに修正し始めた対応は、隠ぺいの意図が疑われてもやむをえまい。

   この2018年からの修正にあたり、当然、2017年以前のデータも修正して比べるのが当然なのに、2018年からの数値しか修正しなかった。この際、たまたま、別途大幅な見直しが行われ2018年から調査サンプルが大幅に入れ替えられていたため、公式統計の2018年の数値が実態より高い伸び率になった。これが、論点の3番目、すなわち野党などが主張する「アベノミクス偽装」の疑念につながる。

   統計自体については、政府の統計全般の「司令塔」といえる総務省でも小売物価統計などに不適切な処理が発覚するなど、なお広がりを見せる。改善の議論の本格化には、政府全体の総点検の完了を待たねばならないが、IT技術の活用による調査の工夫などのほか、各省に分かれる関連業務を集めた「政府統計局」をつくるなどのアイデアもあり、いずれにせよ根本から見直す必要がある。

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