野球プロ・アマ「雪解け」進む それでも「完全修復」が遠いワケ

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野球の国際化による条件緩和も厳しい現実が

   ただ、プロ野球関係者が学生を指導する資格は、そう簡単には得られるものではなかった。資格取得の条件は、プロ野球引退後、10年間教諭として教壇に上がることが必須とされ、その上で適性検査を通らなければならなかった。これは教員免許の所持を前提としたもので、免許を持たないものは大学で取得する必要があり、当時は難関とされていた。

   1992年バルセロナ五輪で野球が正式種目に採用されるなど野球の国際化が進み、プロ野球関係者による必死の呼びかけもあり、年を重ねるごとにこの条件は緩和されていく。94年には10年間勤務が5年間に、97年には2年間に緩和。2013年にはついにこの条件が撤廃され、現行の制度が導入され、より多くのプロ野球関係者に学生を指導する機会が与えられた。

   プロとアマの間で雪解けの様相を呈しているものの、学生野球を取り巻く環境は厳しいと言わざるを得ない。学生を指導する資格は得たプロ野球関係者が必ずしも監督、コーチに就任出来るわけではなく、むしろ指導者の職に就けない者の方が多いのが現状だ。それは受け入れ側の金銭的な問題が要因のひとつでもある。

   高校の野球部は、教員が監督、コーチを務めるのが通例で、外部から雇われて専任で指導に当たるケースは少ない。外部の者が指導に当たる場合、そのほとんどが無償でいわばボランティア的なもの。甲子園の常連校で資金に余裕がある私学ならば、専任の監督、コーチを雇うことは可能だが、公立校では現実的ではない。元プロ野球選手とはいえ、学生の指導者として生計を立てるとした場合、かなりの狭き門となる。

   今年も100人を超すそうそうたるメンバーが資格認定者に名を連ねた。球界のプロアマ問題はもはや過去のものとなりつつあるが、両者の関係が完全に修復し、正しく機能するまでもう少し時間がかかりそうだ。

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