「音でも悪いイメージ」
文部科学省などに「碍」の常用漢字化を要望してきた、NPO法人日本障害者協議会(東京都新宿区)の藤井克徳代表は、個人的な見解としながら、宝塚市の姿勢を「常用漢字化への一歩で、歓迎したい。『害』よりも改善したのでは」と前向きにとらえた。
藤井さん自身も視覚障害者で全盲。「『害』の字をひらがなにする動きはあるが姑息。障害児のことを『がいじ』と言ったり、音でも悪いイメージがある」と強調。そのうえで「『しょうがいしゃ』とか『しょうがい』という音も含め、よくないイメージがあるので、『障壁の多い人』などとする表記の開発を求める」とした。
同会の佐藤久夫理事も個人的な見解ではあるが、宝塚市の姿勢を歓迎。「碍」の常用漢字表への追加を検討するよう委員会で決議が上がる前から、一部の国会議員に「何とか石偏をつかった『障碍』に変えたい」と話はしてきた。「障害者への理解が徐々に変わっていく力になるのでは。表現の在り方の議論に大きな影響を与えることが期待される」
漢字表記の在り方を一歩引いた目線でみる団体も。障害者らでつくるNPO法人DPI日本会議(東京都千代田区)事務局の崔栄繁(さい・たかのり)さんは、団体全体の考えとして、「『害』の字を変えたところで、何も本質的なものは変わらないのでは」と指摘した。「当事者のなかには『障害』という文字自体がいやだという方もいっぱいいるが、排除や差別の原因をつくっているのは社会の側。社会の責任が見づらくなる恐れがある」と強調。そのうえで、「変えたい方々の気持ちを否定しないが、障害者はかわいそうな人たちという今までの強い考えに周りがますますとらわれる懸念があり、(差別意識が)温存されてしまうのでは」と疑問を呈した。
(J-CASTニュース編集部 田中美知生)