旧暦の大晦日にあたる2019年2月4日夜、東京タワーが初めて春節を祝う赤色にライトアップされ、点灯式には安倍晋三首相が中国語を交えたビデオメッセージを寄せた。この異例の対応の背景には、「日中関係は完全に正常な軌道に戻った」(19年1月18日の施政方針演説)ことがあるが、貿易問題で米中関係が悪化していることの裏返しだとの見方もある。
これを裏付けるかのように、今年の春節での米政府の反応はきわめて冷淡で、ポンペオ国務長官が短いメッセージを出すにとどまった。このことを「真心は安倍首相よりも少なめ」と皮肉る中国メディアもある。
米国務長官に「真心は安倍首相よりも...」
安倍氏のビデオメッセージは約2分20秒に及び、冒頭、「大家、過年好!(みなさん、明けましておめでとうございます)」と中国語であいさつ。19年が日中青少年交流年にあたることを触れながら、日本語で
「本年は、これまで以上に青少年をはじめとした、国民同士の交流に力を入れていきたいと思う」
と話した。
これに対して、ポンペオ氏が2月4日(米東部時間)付で国務省のウェブサイトに出した談話はわずか70単語程度で、あいさつ以外の実質的な内容は(1)同盟国とパートナーとの友情を強化し続ける(2)次世代のためにより良い世界を築くための努力に参加するように、すべての国に呼びかける、の2点だけだった。
共産党系の環球時報は、2人の談話を並列する形で紹介。記事本文で論評することは避けたが、ウェブサイトの見出しで「米国務長官が春節を祝う、真心は安倍首相よりも少なめ」と皮肉った。