フリー画像素材サイト「ぱくたそ」が、同サイトの画像が別の素材サイト「Shutterstock(シャッターストック)」でそのまま有料で販売されているとの被害を訴えた。
ぱくたそは利用規約で、「写真素材をほぼそのままの状態で販売する行為」を禁止している。1か月以上前からシャッターストックに削除要求をしているが、「該当の写真は販売され続けている状態です」という。
有料での販売は「公開差止めや賠償請求の対象」
「ぱくたそ」は2019年2月3日、サイト上で「不正販売されている写真に対して行った対応と現状について」とのお知らせを掲載。18年下旬ごろから、「ぱくたそ」が提供する写真素材の一部がシャッターストックで有料販売されていると伝えた。購入したニュースサイトなどが出典元を「Shutterstock」と表記している例もあるという。
調査のため、ぱくたそ側も実際にシャッターストックで写真素材の一部を購入。その結果「ぱくたそのオリジナルであると確認しています。これにより、販売されている写真は、不正利用のものとなります」と断定している。
利用規約では「ぱくたその写真素材は、商用利用可能ですが商品化可能ではありません」「写真素材をほぼそのままの状態で販売する行為(有料素材で販売する行為も含まれる)は、クレジット表記があったとしても公開差止めや賠償請求の対象となります」と明記。今回の事態を強く問題視した。
シャッターストックは日本語を含む複数言語に対応しているが、運営本社は米国にある。ぱくたそ側は18年12月、日本語サポートを通じて「不正に販売されている写真素材をサイトから削除してほしい」と要請したほか、写真の販売数・収益の開示や、再発防止策の提示など4点を質問。「法務部へ報告させていただき、念入りに調査させていただきます」と返信があり、その後何度かやり取りしたが、具体的な回答はなく対応もなされていないという。
「写真素材を不正に販売され続けることは大変迷惑」
その上で、ぱくたそ側は「1月下旬になっても進捗の連絡すらなく、再度メールにて通告しますが返事をいただけない状況が続きます」とし、
「このまま、写真素材を不正に販売され続けることは大変迷惑なので、回答期日を設けた上でまずは該当の写真素材を削除してほしいと懇願しました。しかしながら、回答すらいただけず該当の写真は販売され続けている状態です」
と現状を伝えた。
ぱくたそは、登録カメラマンから預かった写真をフリー素材として公開しているサイト。規約違反の事態を受け、「これ以上は、モデルやカメラマン、利用者にご迷惑をおかけしてしまうと思い、これまでの経緯と現状を公開しました」と、状況を報告した理由を説明している。
J-CASTニュースが4日、シャッターストックの日本語サポートに問い合わせると、「本件については米ニューヨーク本社の法務部が、ぱくたそ様と書面でやり取りしていると聞いておりますが、こちらでは詳細は答えられません。ぱくたそ様への回答が遅くなっているのは、米国に日本語対応できるスタッフが少ないためです」と話す。また、不正販売と指摘されている写真素材の削除要請については「応じる意思はございます」としていた。
ぱくたそ運営者にも、今後シャッターストックの有料販売が続くようであれば何らかの具体的な措置をとることを検討しているか、などについてツイッターで質問を送っている。回答があれば追って伝える。
(追記)運営者に詳細を聞くと...
(追記:2月5日12時)運営者からの回答があったので、以下の追記と、見出しの一部変更を行いました。
ぱくたそ運営者が4日夜、J-CASTニュースの取材に回答し、シャッターストックで有料販売されている写真の枚数について
「当方が確認した不正販売しているユーザーだけに限れば100枚以上はあると思います」
と明かした。サイト全体での数は把握していないといい、さらに多くの写真が販売されている可能性がある。
シャッターストック側の返信はしばらく滞っていたが、「記事を公開してからすぐに日本語の担当者からメールで連絡がありました。尚、記事に関する内容については一切触れられてなかったです」という。
今後も削除されない状態が続いた場合、具体的な措置を検討しているか。運営者は、
「続けられてしまったら続けられていると警鐘し続けるとは思います。利用者が誤って購入してしまうのは嫌ですからね」
とした上で、
「僕らはあくまでも対象の写真素材を削除していただき、質問に対する回答をいただければよく、やむを得ない限り法的対応は検討していません。利用規約の範囲で健全に利用していただくというのが認知され、写真素材業界や今回のようなプラットフォーム側の仕組みが少しでも是正されればと思っています」
と思いを明かした。