「日本は次世代技術で存在感がない」
同じようなことは、表現やデータは異なるが、18年12月31日の日経新聞朝刊の一面トップ「先端技術研究 中国が先行」でも指摘されていた。各国の研究開発力を30のテーマ別に調べたもので、同紙がオランダの学術情報大手エルゼビアと共同で主要論文の閲覧数や注目度を点数化してまとめた。それによると、「ナトリウムイオン電池」「光触媒」など23のテーマで中国がトップ、米国の首位は7つにとどまり、日本は1、2位がゼロ。「免疫療法」など3テーマでようやく3位に入っただけで大半は4位以下だった。
中国の論文は、かつては「粗製乱造」と皮肉られていたが、最近は質も高まっており、優れた論文として引用される論文数も増えているという。「中国が先端技術の分野で力を付けていることに米国の警戒感は強い」と、米中摩擦の背景を指摘し、「日本は次世代技術で存在感がない」「次世代技術を下支えする政府予算の拡充が求められる」と苦言を呈していた。この記事を読む限り、日本が先端科学技術をもとに、新たな産業分野をリードする世界的な流れから置き去り状態になっている姿が浮き彫りになっている。