長野県茅野市内で八ヶ岳をアイスクライミング中に、ナイフを使ったような切れ目が4か所以上もある登山用スリング(紐の一種)があったと、山岳ガイド男性(39)がフェイスブック上で報告した。
原因はよく分かっていないが、登山者の命に関わるため、注意を呼びかけている。
「信じられん」「怖すぎる」リツイートも2万件以上
赤いテープ状のスリングに、横から鋭い刃物で切ったような跡がいくつもある。もしこれに体重をかけたとすれば、途中で切れて深い谷に転落してしまうかもしれない。
「半分雪に埋もれていたので掘り起こしてびっくりしました」。山岳ガイドの男性は2019年1月29日、フェイスブックにこう書き込み、スリングの写真を2枚投稿した。
このガイドはこの日、八ヶ岳に登る途中にある沢の1つでガイド業務をしていて、懸垂用に残されていたスリングに多数の切れ目があるのに気付いた。ナイフで切れ目を入れたような状態で、荷重をかけたら切れそうだった。
自然に劣化したりロープと擦れて溶けたりしたのとは違っていた。このこともあって、ガイドは、「皆さん残置スリングは必ずしっかりチェックしましょう!」と呼びかけた。
ツイッター上では、翌30日になって、登山関係者からもガイドの投稿が紹介され、2万件以上もリツイートされるほどの反響を呼んでいる。
「信じられん」「怖すぎる」と驚きの声が上がるとともに、様々な推測が書き込まれている。
アイゼンで偶然切れた可能性
そんな中で、ほかの登山関係者らからは、登山用アイゼンで凍ったテープスリングを踏みつけると同様な切れ目ができてしまうとの指摘がいくつか寄せられた。
これについて、ガイドの男性もフェイスブックで追記して、その可能性も高いと同意した。立ち木に巻かれたスリングが雪に埋もれているときに踏まれた可能性もあるという。スリングについては、すでに回収したとも報告した。
このガイドは1月31日、J-CASTニュースの取材に対し、次のように話した。
「アイゼンで偶然切れてしまった可能性が高いと思います。鷲や鷹は有り得ないでしょう。イタチやテン、ネズミなどが噛んで切れた跡でもないと思います。鋭利なもので切れたように思います」
アイゼンで誤って切ってしまったとして、今後登山者が気を付けるべきことについては、こう言う。
「残置スリングについては、基本的に使うかどうかは各自の判断です。使用する際は状態や強度を入念に確認すること。使用に耐えうると判断できれば使うことに何ら問題ないように考えます。ただし、厳密により確実な方法を選ぶとしたら自分で新たに設置して使う方が良いでしょう。新たに設置した場合、古い残置はその都度、撤去するように皆が心掛けるのが良いと思います。できる限り残置は避けるべきでしょう。山にゴミを残すことになりますし、景観的にも良くありません。ただし、懸垂下降する場合は使わざるを得ないことが多いです」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)