「アスリート・ファースト」はどこへ
日本代表レベルの選手を指導する競泳のコーチは「選手の中には午前が苦手な者もいる。選手の多くは学生ですから、レース形式の実践的な練習は午後にやることが圧倒的に多い。午前中の決勝にピークを持っていくとすれば、普段の生活から変えていく必要がある。学生にとっては普段は授業中の時間帯ですから」と話す。
決勝時間の前倒しは選手にとって大きな負担とるが、2020年東京五輪で最も大きな負担を強いられるのがマラソン(女子8月2日、男子8月9日スタート予定)だろう。東京の猛暑を避けるため男女マラソンは早朝スタートとなるが、それでも出場選手及び運営スタッフの健康面を危惧する声はいまだに絶えない。
今後、米テレビ局の新たな要望があれば、タイムスケジュールの変更の可能性も出てくる。東京五輪がかかげる「アスリート・ファースト」はどこへ行ってしまうのか。商業五輪のツケを払わされるのは結局のところ、出場選手に他ならないだろう。