ゆうちょ「限度額倍増」評判が悪い理由 反対意見を押し切ったのは...

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   ゆうちょ銀行が扱う貯金の預入限度額が、4月から現在の1300万円から2600万円に倍増される。当事者の日本郵政、監督官庁の総務省、金融庁、与党自民党などの激しい駆け引きの末に決まったが、郵政関係の票を期待した政治決着の側面が指摘され、郵政民営化の在り方など根本的な議論は先送りされた。

   こうした経緯から、新聞論調も概して冷ややかだ。

  • 預金限度額が倍増した(画像はイメージです)
    預金限度額が倍増した(画像はイメージです)
  • 預金限度額が倍増した(画像はイメージです)

昨春予定がもつれにもつれ

   民間金融機関の預金に当たる貯金は、普通預金に相当する出し入れ自由の通常貯金と、貯蓄性の高い定期・定額貯金があり、預入限度額は全部合わせて1人1300万円。2007年の日本郵政の株式会社化以降では、2016年4月に1000万円から引き上げられた。

   郵政の組織は、持ち株会社の「日本郵政」の傘下に「ゆうちょ銀行」、「かんぽ生命保険」、「日本郵便」の3社がぶら下がる。現在、日本郵政株の63%を政府が保有し、日本郵政が金融2社の株の各89%、日本郵便の全株を持ち、日本郵政株の政府保有比率は最終的に「3分の1超」に、金融2社株は全て民間に売り払うことになっている。

   民営化の途上にある郵政は、各省庁から独立した郵政民営化委員会が監視・検証する。具体的に、限度額の変更などは民営化委で議論して意見をまとめる形になる。その過程で、自民党郵政族への根回しや省庁間の折衝が水面下で行われる。限度額の緩和は、2018年春にまとまるはずだったが、調整が難航し、年末まで遅れた。

   限度額は総務省と金融庁の共管事項。日本郵政の長門正貢社長が2018年3月、民営化委のヒアリングで通常貯金の限度額をなくすよう求めた。退職金など1300万円を超えるまとまったお金が預かりにくく、利用者にとって不便というのが理由だ。郵便局の窓口で、上限額を超えた利用者に説明するなど職員の負担になってもいた。全国郵便局長会(全特)は貯金を集める手数料の増加を期待、その意向を受けた自民党が限度額撤廃・拡大に動き、総務省も同調した。

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