大相撲初場所を負傷のため途中休場した横綱・白鵬に対し、元小結・舞の海秀平氏が呈した苦言が不評を買っている。
舞の海氏は横綱・稀勢の里を引き合いに出して「稀勢の里は出ました。同じ横綱でも価値観が違うのかな」などと発言。だが、稀勢の里はケガを押して強行出場を続けたこともあり、8連続休場、そして引退に至った。インターネット上では「白鵬いじめ」の指摘が出るとともに、「稀勢の里は、こんな事いう人たちが多かったから、無理して出て引退したんだ」との声もある。
「同じ横綱でも、ちょっと価値観が違うのかなと」
白鵬は2019年初場所で、初日から10連勝の後3連敗し、14日目から休場した。千秋楽の1月27日、NHKの中継で解説した元横綱・北の富士勝昭氏も「(白鵬の)3敗は相手を褒めるべきだと思う」と勝った3力士を評価。一方で、
「しかし遠慮なく言わせてもらえば、僕は2日間くらい足を引きずってでも、這ってでも出てきてほしかったね」
と、その後休場した白鵬に不満をもらした。
今場所の白鵬は右膝の手術明け。4日目の幕内・北勝富士戦でその右ひざを再び負傷し、5日目の幕内・錦木戦では左足首を痛めた。報道によれば、右膝血腫と左足関節炎で「約1週間の加療を要する」と診断されたという。
ケガを押して出場した力士もいた。幕内・勢は初日に額を切り、8針縫った。それでも大きなガーゼを当てながら15日間取り切り、9勝6敗と勝ち越し。千秋楽は敗れたが、ケガをいとわず正面から当たっていった。
ここで白鵬に言及したのが舞の海氏だ。この日、NHK中継でもう1人の解説者を務めており、
「勢は今日負けましたけど、こういう姿を見ると、やっぱり先ほど北の富士さんのお話にもありましたが、白鵬には最後まで出てほしかったですね」
と、勢と比較。さらには、
「ケガの箇所も確かに違うんですけど、稀勢の里は出ましたもんね。そこは同じ横綱でも、ちょっと価値観が違うのかなと考えてしまいますね」
と稀勢の里も引き合いに出し、白鵬に苦言を呈したのだ。
「さすがに共感できない」
稀勢の里は17年3月場所で、左腕を負傷しながら強行出場を続け、結果として優勝と引き換えに相撲人生を左右する「爆弾」をその肩に抱えた。同5月場所から8場所連続休場(うち3連続全休)、復帰した18年9月場所は10勝5敗と最低限の成績を収めたが、翌11月場所は初日から4連敗後に休場。そしてこの初場所でも1勝もできず、横綱ワーストの8連敗という不名誉な記録も残して、引退を決断した。1月16日の引退会見では「自分の相撲が取れなくなっていた。ケガする前の自分に戻ることはできなかった」と明かしており、最後までケガが影を落とし続けていたことは、多くの人が知るところだろう。
こうした事情もあり、ケガでも強行出場した末に引退した稀勢の里と比べながら、休場を選んだ白鵬に物申した舞の海氏には、違和感を覚える視聴者が少なくなかったようだ。ツイッターでは、
「舞の海は、稀勢の里があの後八場所連続休場したという事実をふまえた上で白鵬の休場を批判しているのだろうか?」
「力士もファンもケガにナーバスになってるこのご時世にその発言、さすがに共感できない。最近の舞の海は放言が過ぎる」
「舞の海の白鵬ディスりが意味不明。稀勢の里は出続けた、と休場続きの稀勢の里と比べるのも違和感あるし」
といった声が相次いだ。
また、ここ数年の白鵬は態度や取り組みぶりが「横綱らしくない」などと批判を受けることも多いのを念頭に置いてか、「白鵬叩きたいだけ?」「白鵬いじめの発言が出ました」との反応もあった。さらには、
「稀勢の里は、こんな事いう人たちが多かったから、無理して出て引退したんだ」
との指摘も出ていた。