韓国国防省が日本の哨戒機が東シナ海で韓国海軍の艦艇に対して、低空で接近する「威嚇飛行」をしたと主張している問題で、韓国側は2019年1月24日、現場で撮影したとされる5枚の写真を公開した。
ただ、これらの写真には海面や水平線が写っておらず、韓国側が主張する高度を検証することは不可能だ。ただ、韓国側はレーダーが示す高度のデータが写りこんでいることを理由に自信を深めている様子で、岩屋毅防衛相の「ちょっと、よく分からない」という反応を「とぼけている」とまで批判するメディアもある。日本側は特段の反論や協議はせずに「スルー」する構えだ。
写真に「水面なし」、高度わからず
韓国側は高度が約60~70メートルだったとする一方で、日本側は「高度150メートル以上を確保」しており問題ないと反論している。韓国側が公開した写真は5枚。1枚、日本側の哨戒機が飛行する様子を収めた通常の写真、2枚が赤外線写真、2枚がレーダーの表示の一部を抜き出した写真だ。
写真には「右舷通過時の高さは約60メートル」という説明が添えられているが、そこに写っているのは日本の哨戒機と艦艇のアンテナのみで、海面や水平線がどこにあるかは分からない。
「近接脅威当時補足したレーダーデータ」として示した写真には、
「日本のP-3哨戒機が大祚栄艦接近した当時の高度は200フィート(約60~70メートル)」
という説明がある。そこに写りこんでいるのは「200 ft」という表示だ。数字と単位の間に不自然な間隔があることから、日本のネット上では、「実際には2000フィート(600メートル)なのではないか」と疑う向きさえあるなど、公開された写真を「証拠」として受け止める向きは皆無に近い。
岩屋氏は写真が公開された直後の1月24日夕方、
「丸腰の哨戒機が(武装した艦艇に)近づいて脅威を感じるのは、むしろ哨戒機の方」
などと反論。公開された写真については、「ちょっと、よく分からない」と述べ、証拠能力に欠けるとの見方を示した。