日米貿易交渉 トランプ政権が送り込む「実力者」にどこまで戦える?

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日本の主張を「尊重する」とは言うが

   農産物も予断を許さない。9月の首脳会談で「日本の農産品の市場開放は環太平洋経済連携協定(TPP)など過去に結んだ経済連携協定での合意が限度」と「確認した」とされるが、「日本の主張を『尊重する』としたもので、米国がそれでいいと認めたわけではない」(大手紙経済部デスク)。実際、「TPP以上の譲歩を日本に求める」(パーデュー農務長官)という声が閣僚からも出ている。

   医薬品や医療機器についても「公正な手続きを求める」とした。米国ではがん治療薬などが極めて高額。日本は政府が薬価を決め、財政を圧迫する新薬の価格を下げる制度にしたことに、米製薬業界が反発しており、日本側は米国が薬価制度の見直しを迫るのではないかとの警戒感が強まっている。

   これらの物品以外の項目も、日本には厳しい。代表的なのが、通貨安への誘導を禁じる「為替条項」だ。円高が急進したような場合、円売り介入を制限されかねず、投機に対処しづらくなる。トランプ政権に影響力を持つ米自動車業界は、円安を武器とした日本車の輸出攻勢を批判しており、交渉でも日本に強く求めて来そうだ。

   もう一つが、中国との貿易協定の締結を難しくする通称「毒薬条項(ポイズンピル)」だ。交渉目的に「日本が非市場国とFTAを結べば、透明性を確保し、適切な行動をとるための仕組みを設ける」と明記している。「非市場国」とは中国を念頭に置く表現で、日中韓3カ国のFTAや、中国や東南アジア諸国連合(ASEAN)など16カ国が参加する自由貿易圏構想「東アジア地域包括的経済連携(RCEP)」など日本が進める中国を含む通商外交の手が縛られる恐れがある。

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