年明けの不安感の中で存在感
東宝の株価は前述したように、2018年3~11月期連結決算に先立つ野村証券の1月4日付リポートの効果もあって年初から好調で、1月7日には一時、前週末終値比7.1%(280円)高の4240円をつけ、昨年来高値を更新した。
その野村の4日付のリポートはというと、投資判断を3段階で真ん中の「ニュートラル(中立)」から最上位の「バイ(買い)」に格上げし、目標株価も3400円から一気に4830円に引き上げるというもの。2020年2月期の営業利益予想も従来の437億円から530億円に上方修正し、最高益を更新すると見込んだ。長尾佳尚氏(前出)は、「配給作品はヒットが期待できる作品が多く、特に映画営業事業の営業利益予想を120億円から153億円に引き上げる。19年は邦画の好調に加え、洋画の好調も期待できるため、映画興行事業の営業利益予想を88億円から147億円に上方修正した」と記した。年明けの日本株は全体として方向感のつかめない流れだったが、主力の映画関連で業績改善が期待できるとあって、東宝株には投資家の買い意欲が高まり、昨年来高値まで押し上げられたのだった。
足元で株価が上り調子の東宝だが、映画ビジネスは実際に興業を始めてみなければわからないところも多い。同業他社に比べて株価の水準が割高との見方も出始めているだけに、東宝には業績が改善する実績を示していくことが求められている。