音声に反証せず「戦争できる国に...」(韓国紙) レーダー問題このまま「うやむや」か

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   韓国海軍の駆逐艦が海自機に火器管制レーダーを照射した問題は、後味の悪い幕引きを迎えることになりそうだ。防衛省は2019年1月21日、「最終見解」と題した文書と、海自機が探知したレーダー波を変換した音声を公表、「これ以上実務者協議を継続しても、真実の究明に至らないと考えられるとして、協議を打ち切る方針を表明した。

   日本側は、この音声を「事実確認に資する証拠の一つ」と位置付けるが、韓国側は「実体を知ることができない機械音」だと主張。それと歩調を合わせる形で、韓国メディアからも日本側を非難する論調が出ている。

  • 防衛省が公開した動画についても、韓国側は「証拠とはみなせない」と主張した
    防衛省が公開した動画についても、韓国側は「証拠とはみなせない」と主張した
  • 防衛省が公開した動画についても、韓国側は「証拠とはみなせない」と主張した

韓国側は引き続き立証不足を主張

   韓国国防省の崔賢洙(チェ・ヒョンス)報道官は、1月21日夜、

「私たちが要求した検出日時、方位、電磁波の特性などを全く確認できない、実体を知ることができない機械音」

などとして、日本側の立証不足を引き続き主張。協議打ち切りに対して「深い遺憾を表明する」とした。さらに

「今回の事案の本質は、人道的救助活動中の私たちの艦艇に対する日本哨戒機の低空脅威飛行であり、これに対する再発防止と日本の謝罪を改めて求める」

などと従来の主張を繰り返した。

   韓国メディアの中では、左派系の京郷新聞が1月22日に社説に取り上げた。社説では、

「時間が経つにつれ、日本の主張は説得力を失った。日本がレーダーの種類を間違えたか、事案を誇張した可能性が高くなった」

と主張。実務者協議にレーダーの専門家が出席しなかったとして、「問題を解決しようとする本当の姿勢ではない」と非難した。

「世論集めてもうやめる」...どちらのこと?

   さらに、韓国国防省の主張と同様、周波数特性が分かるログデータを出すように要求。それができなければ、日本が「戦争ができる国」に向かおうとしていることを示している、という独自の主張を展開した。

「これを回避することは、日本が最初から『戦争することができる普通の国』に向かうために、韓国軍の通常の作戦について論難したことを自ら認めることになる。日本は、両国の将来のために決断を下さなければならない」

   SBSテレビは、日本は13年にも中国からレーダー照射を受けたことを引き合いに

「擁護する世論を集めてから『相手と話にならないから、もうやめる』という言い逃れは(中国の時と)全く同じだ、という指摘が出ている」

と報じた。

   日本側は1月14日の実務者協議で、(1)解析結果のもととなる探知したレーダー波のデータやレーダー波を音に変換したデータなど事実確認に資する証拠と、韓国駆逐艦の火器管制レーダーの性能や同レーダーの使用記録などを、情報管理を徹底した上で突き合わせ、共同で検証していくこと(2)探知したレーダー波を音に変換したデータを持参し、その場で韓国側に聴取してもらうこと、を提案したが、2点とも韓国側が拒否したと説明している。

   韓国メディアではこういった点への反論はほとんど見当たらず、議論はかみ合わないままだ。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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