東京都内の美術大学5校が参加する展覧会のポスターデザインをめぐり、SNS上で賛否両論を呼んでいる。
見る人の意見が真っ二つに分かれる独特なデザイン。制作者に意図を聞いてみると......。
「デザインとは何かを考えさせられる」
女子美術大、東京造形大、日本大学芸術学部、武蔵野美術大、多摩美術大が共同で開催する「東京五美術大学連合卒業・修了制作展」。今年で42回目の伝統ある展覧会で、毎年約6万人以上が訪れる。
今年は2019年2月21日~3月3日の期間、国立新美術館(東京・港区)で行われる。
SNSで議論となっているのは、展覧会のポスターやダイレクトメール、冊子に使われたデザインだ。広報物は開催校が持ち回りで担当し、今年は多摩美大が制作した。
フリーハンドでさっと描いたような中心の円に参加大学・学科が書かれており、脱力感いっぱいの仕上がり。背景の斜線や罫線も手書き風だ。昨年はピンクと青のグラデーションを基調とした落ち着いたデザインだけに、「異様さ」が際立つ。
ツイッターでは、「手抜きすぎる」「アートやデザイン、美大という『権威』に対する強烈な皮肉ともとれる」と賛否を呼び、そのほか、
「デザインとは何かを考えさせられる」「良かったのか悪かったのか判断が難しいところだけれど、結果的に話題になったからデザインした人の勝ちかな」
といった意見もある。
製作者は多摩美大教授
多摩美大総合企画室の担当者は1月21日、J-CASTニュースの取材に、制作したのは同大の服部一成教授(54)だと明かした。
服部氏は広告会社でデザイナーとして活躍し、その後フリーに。15年から多摩美大のグラフィックデザイン学科で教鞭を執っている。キユーピー「キユーピーハーフ」やキリン「淡麗グリーンラベル」の広告デザインで知られる。
今回のデザインの意図について、担当者は
「服部一成教授はデザイナーとして、既成の概念にとらわれないグラフィックの表現を続けてきました。若い美術家たちの展覧会である五美大展に対しても同様です」
と説明した。
(J-CASTニュース編集部 谷本陵)