FA(フリーエージェント)で広島から巨人に移籍した丸佳浩外野手(29)が、古巣の対策法を巨人ナインに「伝授」する意向を示した。春季キャンプに向けて自主トレ中の丸が、報道陣に向けて明かしたもので、スポーツ紙などが報じている。
報道によると、丸は「自分の言える範囲で」とした上で情報を提供するという。この発言にネット上で一部の広島ファンから「昨年まで仲間だった選手達を平気で売るか?」との怒りの声が見られたが、多くは丸が提供する情報にそれほどの価値を見出していないようだ。
「コーチならともかく一選手からはたいした情報は聞きだせないと思うよ」
「他の選手と絡まず勝手にやっていたイメージがあるので、大した情報では無いと思うが」
「残念ながら、丸がアドバイスしたところで、参考にならないと思う」
「丸が知ってる事くらい巨人も分かってるでしょうよ」
日本シリーズでは「丸封じ」に成功
シーズンを前にして早くも情報戦の様相を呈してきたが、巨人が最も恐れるのは丸の攻略法が広島に漏れること。巨人フロントはもちろん、巨人、広島ファンが注目しているのが、前ソフトバンクのヘッドコーチで元広島監督の達川光男氏(63)だ。
昨季の日本シリーズで広島と対戦したソフトバンク投手陣は、丸に仕事をさせなかった。ソフトバンク投手陣が6試合で丸に許した安打はわずか「4」。昨季、リーグ断トツの130の四球を選んだ選球眼の良い丸から12の三振を奪い、打率160.に抑え込んだ。この立役者がヘッドコーチを務めた達川氏といわれている。
広島県出身の達川氏は広島の選手として15年、監督として3年間(1軍2年、2軍1年)、チームの指揮を執った経験を持つ。達川氏の「広島愛」は筋金入りで、丸が巨人に移籍したら攻略法を広島に伝えると公言していたほど。実際、丸の巨人入りが決まった後は、地元広島のテレビ番組で丸の攻略法の一部を暴露している。
攻略法暴露も「本質は別にある」(球団関係者)
達川氏が番組内で明かした攻略法のひとつは、丸の打つタイミングを外すこと。達川氏いわく、丸は広島の応援団が奏でるリズムに乗ってタイミングを取っており、これを外すことで丸の打撃のリズムを崩すことが出来るという。ただ、これは広島ファンに向けてのサービス的なもので、球団関係者は「本質は別にある」と指摘する。
捕手出身の達川氏は、広島での監督経験をはじめ、阪神、中日でバッテリーコーチを、ソフトバンクでヘッドコーチを務めてきた。監督として実績を残せなかったが、捕手として打者を分析する力は高く評価されており、丸の攻略法もしっかりとしたロジックのもと構成されているという。
前出の関係者は「達川さんの攻略法がすでに広島に伝わっている可能性は高い。その情報をもとにキャンプで丸対策を練るのでしょう。テレビでは当たり障りのない攻略法を吹いていますが、実際は決定的な攻略法があるはず。日本シリーズの丸の打席を見れば一目瞭然です。あの丸が6試合で12回も三振しているのですから。達川さんは本気だと思います」と話す。
春季キャンプを前に連日、多くの報道陣に囲まれての自主トレが続く丸。巨人特有のメディアの重圧に加えて古巣からの徹底マーク。背番号「8」のいばらの道は続きそうだ。