大阪市営地下鉄(現・大阪メトロ)の男性運転士2人が、ひげを禁止する内規に従わず不当な人事考課を受けたとして、慰謝料などを求めた「ひげ訴訟」が注目を集めている。
各報道によれば、大阪地裁は2019年1月16日、大阪市に計44万円の支払いを命じたが、内藤裕之裁判長は「ひげは清潔感を欠くとか威圧的印象を与えるなど、社会で広く肯定的に受け入れられているとまでいえない」と内規に一定の合理性も認めている。
内藤裁判長の主張を専門家はどう見るのか。ひげの有識者団体「ヒゲ倶楽部」に聞いた。
日本はもともと「ひげ国家」
「なんだこの判決。控訴する」――吉村洋文大阪市長は1月17日、ツイッターで判決は不服だとして、控訴する方針を明らかにした。
判決をめぐってはSNS上で賛否を呼び、「髭は不快感、威圧感を感じる」「髭が汚らしいとか威圧的とか社会的マナー違反なイメージっていつから刷り込まれたんだ」とひげの是非についても議論されている。
理容師などで組織する、ひげ文化の追求やひげ造形の指導などを掲げる団体「ヒゲ倶楽部」リーダーの丸山尊人さんは18日、J-CASTニュースの取材に、ひげに対する世間の目が厳しい理由を「軍事国家の頃の日本や映画の悪役、偉そうな上司、ホームレスなどマイナスなイメージが強く先行し、それを払しょくするような動きや団体もなかったため」と分析する。
丸山さんによれば、日本はもともとひげを生やすのが一般的な「ひげ国家」だった。しかし、終戦とともにひげを生やす風習や文化が薄れてきたという。