政治日程続き「動きづらい」2019年
まず、米国は、2018年12月18日に年間4回目の利上げを実施した連邦準備理事会(FRB)が、株価下落などを受け、2019年年明けに、年内に2回程度と想定されていた金利引き上げを当面、凍結する方向に舵を切ったとされる。米景気の先行きに陰りが見え始めたということでもあり、そもそも、FRBが利上げを急いできた背景には、来るべき景気後退期に取れる政策手段、つまり利下げの余地を広げるという狙いがあった。米国の景気動向によって、政策の方向が利上げから利下げに転換する可能性もあるということだ。
これは、日銀にとっては難題だ。アベノミクスがうまくいっているとされる最大の支えが円安で、異次元緩和が円安を誘発したことは誰もが認めるところ。米国が好景気で利上げに転じたことと表裏一体で円安が進んだが、米国の利上げ打ち止め、さらに利下げとなれば、日米の金利の差が縮まり、円が高くなりやすくなる。日本の金利が事実上ゼロで、これ以上の下げ余地は乏しく、量的緩和の拡大と言っても、日銀はすでに発行されている国債の半分近い470兆円も保有し、大量に買い増すのは難しい。「仮に為替相場が円高に振れても、金融政策の手立てはほとんどない」(金融筋)。もちろん、米国に「為替操作」と睨まれる市場での円売り・ドル買い介入などできるはずはない。
国内でも、原油安や携帯電話料金値下げなどで今後も物価が力強く上昇していくことは期待できそうにない。4月の統一地方選、7月の参院選、10月の消費税率引き上げという政治絡みの日程が並び、日銀は動きにくい状況が続く。2%目標の追求と副作用、さらに円高懸念という連立方程式をどう解くか。引き続き難しい政策運営を迫られそうだ。