「婚姻」と「パートナーシップ」、何が違う
婚姻に準ずる関係として自治体が公に承認するパートナーシップ制度は全国で導入が進んでいる。性的マイノリティが働きやすい職場づくりを目指すNPO法人虹色ダイバーシティによる昨年(2018年)11月30日の調べによると、パートナーシップ制度を実施している自治体9つで、319組のカップルが登録。
だが婚姻に比べ、法的利益を受けられないことが多いとされている。
「一番大きいところは、婚姻は、夫婦・家族として法的に手厚い保護がなされ、当事者間でも法的権利義務関係が発生するのに対して、パートナーシップ制度では、全く法的拘束力や法的権利義務関係は発生しません」。こう指摘するのは、性的マイノリティの問題に詳しい早稲田大学法学学術院の棚村政行教授(家族法)だ。
棚村教授によれば、婚姻である場合、所得税の配偶者控除や扶養控除を受けられるが、パートナーシップ制度では法的関係がないため受けられないという。「国民年金や健康保険の配偶者とされることもない。離婚の際の財産分与や年金分割も受けられない」としている。
一方で、同性パートナーシップ制度では「せいぜい、生命保険の受取人になることができるほか、携帯の家族割引、企業や市役所での福利厚生や市営住宅への入居が認められるなど、きわめて限定的な保護に限られる」と指摘。パートナーシップだと公に証明する書類を発行する自治体で限られた恩恵を受けることができても、「一般的に夫婦としての権利や扱いが認められたわけではない」と話す。
憲法24条では、「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立」と規定している。今回の同性カップルらが起こす訴訟の争点について棚村教授は「憲法24条でいう『両性』に同性婚カップルは含まれるか、同性婚を排除していることは違憲であり、法改正を放置していることは国会の職務怠慢といえるかが争われる」と説明していた。
(J-CASTニュース編集部 田中美知生)