テレビ埼玉で毎年元日に放送している長寿番組「埼玉政財界人チャリティ歌謡祭」。2019年で28回目を数え、埼玉県民の風物詩となっている。
近年ではSNSでも注目を集めている。インターネットユーザーの間で「埼玉の奇祭」「課金カラオケ」などと称され、ローカル番組の枠を超えた人気を誇る。
謎の美女8人が笑み
チャリティ歌謡祭は、県内の有力企業や自治体の長が出演し、NHK紅白歌合戦さながらに自慢の歌声を披露する。目的は文化振興基金への寄付で、番組では社長や市長の募金シーンも紹介される。多額の現金が募金箱に放りこまれる様は圧巻だ。
2016年ごろから参加団体の並々ならぬ熱の入れようがネットで話題となり、18年には「#埼玉政財界人チャリティ歌謡祭」がツイッターのトレンド1位に入った。
今年放送分の収録(18年11月)では、大宮ソニックシティ大ホール(さいたま市)を舞台に、17団体が集まった。LPガス大手「サイサン」(さいたま市)の川本武彦社長は、DA PUMPの『if...』を熱唱。バックダンサーとともに完成度の高いダンスも披露した。
運送会社「大和輸送」(行田市)の坂本和雄社長は、源丈文さんの『銀座の源さん』の替え歌を歌唱。サビの「源さん~いい男」の部分は「和さん」と自身の名前にアレンジした。ステージには着物やドレスを着た女性8人も登壇し、後ろで微笑みながら見守る。司会者から「後ろの方たちはどういうご関係?」と振られると、坂本社長は「仕事の関係でお手伝いいただいている方々」と答えていた。
川口市からは奥ノ木信夫市長が登壇。後援会から約120人がかけつけ、客席からサイリウムやうちわでアイドル顔負けの応援を送った。同市広報課によれば、昨年9月から月に2回程度、パフォーマンスやコーラスの練習をしてきたという。