日本マクドナルドホールディングス(HD)の株式が、年明けの荒れ模様の東京株式市場で4日続伸し、気を吐いた。「株式優待銘柄」でもあり、年末年始は売られやすい地合いにあるが、足元の業績が好調なことで買いが入った。
ただ、苦戦が伝えられる他の外食企業に比べて業績を伸ばしているとはいえ、株価は昨年来高値に遠い水準。現状から上値を追うには再成長につながる「さらなる一手」が求められそうだ。
「優待」確保後は売られやすいが
日本マクドナルドHDの株価の4連騰は、大発会の1月4、7、8、9日。9日の終値は昨年末終値に比べて5.4%(250円)高の4910円だった。
外食銘柄は「株式優待銘柄」であることが多い。日本マクドナルドHDも例外ではなく、その優待をゲットしようという個人投資家の動きが株価に影響する。日本マクドナルドHDの場合、年末年始は株主優待の権利が確定した直後にあたり、株主優待目的の個人投資家が手放すために売られやすいのが一般的な状況だが、にも関わらず買われたと言える(直近では4700円台まで落としたが)。
参考までに日本マクドナルドHDの株主優待を説明しよう。6月末と12月末の株主に対し、全国約2900の全店舗で使える商品券が贈られる。最低単位は100株。つまり、9日の終値で計算するなら、4910円の下部×100=49万1000円を投資すれば、株主優待の権利が得られるわけだ。100株の株主に得られるのはバーガー類、ポテトなどのサイドメニュー、ドリンク類各1個の無料引換券の6枚綴り。金券ショップに持ち込めば6枚つづりは2000円台後半で買い取ってもらえるようだ。50万円弱の投資で確実にすぐさま3000円弱得られるわけだが、株主優待としてはすかいらーくや吉野家よりはリターンは小さいとされている。
ちなみに、12月末と言っても厳密には大みそかまで保有している必要はない。最終取引日、昨年末なら大納会の12月28日の3営業日前の25日が「権利付最終日」と呼ばれ、この日に株式を保有していればいい。翌26日は「権利落ち日」と呼ばれ、この日以降、株主優待の権利を得たうえで株式を売れる。そのため年末年始は日本マクドナルドHD株にとって逆風の局面というわけだ。
外食全体の懸念をどう吹き飛ばす
その逆風をはねのけるのに一役買ったのが、1月8日に発表された12月と2018年の既存店売上高だ。12月は前年同月比で8.8%の大幅増で、前年超えは37か月連続という快挙でもあった。3年1か月続いたということは、2014年の鶏肉偽装問題やその後の異物混入問題で遠のいた客足を戻した反転成長が2015年12月以降、連続して4年目に入り、しかもそれが大幅増を記録したことが好感されたわけだ。また、2018年12月の客数は7.4%増、客単価は1.3%増を記録。2018年通年の既存店売上高は前年比6.9%増で3年連続のプラスだった。
2018年3月に登場した「夜マック」が引き続き人気を博していることに加え、冬の季節商品であるコロッケを挟んだハンバーガー「グラコロ」の売れ行きが好調だった。夜マックは夕食需要を掘り起こすために午後5時以降、100円追加すればハンバーガーの肉が2倍になるというもので男性だけでなく女性にも人気で、新たな定番になりつつある。
ただ、現状の株価水準(1月11日終値で4800円)は、昨年来高値(6030円=2018年6月18日)より、なお2割も低い。これには外食産業に共通する人件費や材料費の増加を懸念する見方から2018年後半に売られてきた経緯がある。そのため市場では「現状よりさらに株価が浮上するには世の中を驚かせるようなもう一段の成長戦略が必要」との声が聞かれる。
(17日追記)ご指摘を受け、記事の一部を修正いたしました。