気候に加え、トップ選手には「不利」も
2018年、「荒れる全豪」の象徴的な存在となったのが、韓国の新星・鄭現(22)だ。世界ランク58位だった鄭現は、当時世界ランク4位アレキサンダー・ズベレフ(21)=ドイツ=、ジョコビッチ(セルビア)ら世界トップクラスの実力者を相次いで撃破し、韓国人初のグランドスラム4強入りを果たした。
全豪が「荒れる」理由はいくつかあげられる。そのひとつとして挙げられるのが気候である。南半球に位置するオーストラリアで開催されるため、北半球に生活圏を置く選手にとっては季節が真逆となる。この時期のオーストラリアは真夏で、気温が30度を超す猛暑が続くため、北半球の選手にとって調整が困難だといわれている。
また、世界のトップ選手が序盤で姿を消すことが多い要因のひとつとして、過密スケジュールが挙げられる。世界のトップ8選手はツアー最終戦まで戦い抜くため、オフの期間が他の選手と比べてかなり短いものとなる。前年度のツアーでの疲労が抜けきる前に全豪を迎える選手もおり、これが影響して世界トップ10に入るような選手が実力を出す前に敗れるケースが見られる。
あわや「金星」献上の危機にさらされた錦織の次戦は、世界ランク73位イボ・カロビッチ(39)=クロアチア=。2016年全米OP以来の対戦となるカロビッチ戦について「久しぶりの対戦。あまり好きな相手ではない。調子がよさそうなので、なるべくリターンや自分のサービスゲームでしっかりプレーできるように意識したい」と気を引き締めた。