進退をかけて初場所に臨んでいる大相撲の横綱・稀勢の里は2019年1月14日の2日目、初日に続く黒星を喫して厳しい連敗スタートとなった。
相手は前頭筆頭・逸ノ城。横綱が番付で下の力士に負けた時には、場内に座布団が舞うのがおなじみの光景だが、この日は平幕相手の黒星であったにもかかわらず、ほとんど座布団は飛ばない静かな敗戦となった。
巨漢の逸ノ城にはたき込み浴びる
稀勢の里は逸ノ城相手に通算8勝6敗。決して苦手としているわけではなかったが、取り組みはあっけなかった。
待ったが3回あった。はじめは稀勢の里の手がついていなかったため、2・3回目は逸ノ城が先に立ち上がった。ようやく成立した4回目で、稀勢の里は前に出て押し込んだが、簡単にいなされた。振り向いて同じように押し込もうとしたが、巨漢の逸ノ城にはたき込みを浴び、土俵に転がった。初日の小結・御嶽海に続く2連敗となった。
横綱が番付下の相手に敗れれば、場内の観客が座布団を飛ばすのが恒例。平幕相手の敗戦となればなおさらだが、この日の稀勢の里敗戦で座布団の舞はほとんど見られなかった。どちらかといえば、静まり返る場内。こんな光景にツイッター上では、
「稀勢の里負けても座布団が舞わないのは悲しい」
「もう... 座布団...舞わないんだね」
「稀勢の里が負けても座布団が舞わないのがもう末期よな」
といった声が続々とあがっていた。
NHKの中継で解説した鳴戸親方(元大関・琴欧洲)は「いなした後で稀勢の里はバタついた。焦っていた」と冷静に分析。藤井康生アナウンサーが「内容よりも稀勢の里の心が表れてしまったかなという土俵だった」と言うと、鳴戸親方は「やることはやったんじゃないか」と一言。2連敗については「それが現実じゃないですかね」と淡々としていた。
稀勢の里は18年9月場所千秋楽から7連敗(不戦敗除く)。横綱として歴代ワーストタイの記録となった。