「家政婦が見た」や「まんが日本昔ばなし」で人気を集めた演技派女優の市原悦子(いちはら・えつこ)さんが2019年1月12日、心不全のため死去した。82歳だった。
2016年末から体調を崩し休業、療養を続けていた。
「火曜サスペンス劇場」は常連
1936年生まれ。千葉市出身。千葉高校を卒業後、俳優座養成所へ進んだ。57年、俳優座に入り、63年「三文オペラ」で新劇演劇賞、64年「ハムレット」でゴールデン・アロー賞新人賞を受賞し、新劇女優として地歩を固める。
71年に俳優座退団後は、活躍の場をいちだんと広げた。75年にスタートした「まんが日本昔ばなし」の声役は特に好評で約20年続いた。すべての登場人物の声色を常田富士男さんと2人で自在に操り、最高視聴率は30パーセントを突破した。
83年から始まった「家政婦は見た!」も大ヒット。約25年間も主役を続け、最大の当たり役となった。ギャラクシー賞など放送関係のいくつもの賞を受賞した。
「燃えつきた地図」「青春の殺人者」「八つ墓村」など多数の映画にも出演し、90年、「黒い雨」の演技で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞した。
テレビでは「弁護士高見沢響子」「おばさんデカ 桜乙女の事件帖」などの2時間ドラマの主役のほか、「火曜サスペンス劇場」などの常連で、多くのドラマをこなし、庶民的なキャラクターと卓越した演技力でお茶の間に親しまれた。CMやナレーションの仕事も多かった。
夫の舞台演出家、塩見哲さんは2014年に亡くなっている。