スルガ銀行は「脱創業家」果たせるか あまりに深い岡野一族とのつながり

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問われるのは新経営陣の覚悟

   ファミリー企業は株式売却代金として41億円を受け取ったが、このうち債務の弁済に当てられたのは18億円にとどまり、残りはファミリー企業間を資金移動して、一部は喜之助氏の個人口座に送金された。担保解除決定や回収額については、喜之助氏の意向が反映された。

   もう一つは、2012年以降、美術館を運営する一般財団法人(ファミリー企業)に対して行ったスルガ銀による寄付が、美術品や不動産の売買を通じて一部のファミリー企業に流れ、スルガ銀からの借り入れの返済に使われていた点だ。おおむね半年に一度の割合で、6億円ずつ、美術品や不動産の取得を目的に寄付した。こちらも喜之助氏が大きな役割を果たしたとみられる。

   これらの問題について、調査委は光喜氏▽喜之助氏▽白井稔彦元専務▽望月和也元専務▽八木健取締役の計5人について、善管注意義務違反を認定した。これとは別に、2018年11月にはシェアハウス融資を巡って新旧経営陣9人に総額35億円の損害賠償を求める訴訟を起こしている。

   スルガ銀は、民事上の責任を追及することで「脱創業家」の流れを作りたい考えだ。だが、全容の解明が困難だとして特別背任などの刑事責任は見送る。スルガ銀を創業し、社内外で大きな影響力を持っていた創業家は、関係会社や団体が大株主として保有する計15%超の株式については売却する意向とされるが、真に岡野家の呪縛を解くことができるのか。有国三知男社長ら新経営陣の覚悟が問われそうだ。

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