補正予算の「カラクリ」
この予算案について、全国紙は閣議決定翌日の2018年12月22日朝刊で、一斉に社説(産経は「主張」)を掲げたが、批判的な論調が目立った。
「1000兆円を超す借金を抱えているのに、いつまで野放図な財政運営を続けるのか。安倍政権の発足後、予算規模はこれで7年連続で最大となったが、今回は大盤振る舞いが際立つ」(毎日)といった、財政の危機的状況下でのバラマキへの批判、懸念は各紙共通する。日経も「世界経済の先行きに不透明感が出るなか、来年後半以降の需要減に備える一定の対策は理解できるが、当初予算でこれだけ大判振る舞いが必要なのだろうか」と諌める。
「増税による景気の腰折れは何としても回避したい。そのため政府が対策に万全を期した狙いは分かる」と理解を示す産経でも、「新たな財政需要があるならば、既存事業を見直して予算にメリハリを付けるのが筋だ。その形跡が見えないのはどうしたことか」と手厳しい。
個別のテーマにもそれぞれ言及し、例えば朝日は国債発行額の減について「18年度も2次補正で国債を追加発行する結果、年度を通しての発行額は17年度を上回る。これではいくら当初予算を取りつくろっても、財政はよくなることがない」と〝補正予算のカラクリ〟を指摘。税収見積もりも、前提となる経済成長率見通しの名目2.4%が「民間などの予想より高め」と疑問符をつける。
読売は、「自然増の抑制を、主に薬価引き下げで捻出する手法にはおのずと限界がある。給付抑制と負担増を伴う、本格的な制度改革に取り組まねばならない」と、社会保障改革を強く訴える。
毎日は「来年度は、政府が新たに作った財政健全化計画の初年度である。......今回は歳出抑制に本腰を入れる必要があった。まして増税で国民に新たな負担を求める以上、無駄をきっちり省くべきだった」と、財政再建への取り組みを求め、読売は「財政の先行きを見据えれば、(消費税率の)さらなる引き上げは避けられまい。新たな社会保障と税の一体改革の策定が急がれる」と、腰を据えた取り組みを訴えている。