「対策」を話し合えない状況
梁、黄両氏は、早くも2015年12月にネット上で発表した「どのような人口政策が必要か」という論文で、「出生数は2017年にピークに達し、2018年以降、崖を転がり落ちるように減り始めるかもしれない」と予測した。経済が発展している沿海部を中心として、「子育てコストの増加」といった要因を背景に、二人の"予言"は現実となった可能性もある。
人口問題はいま、極めて重要な局面に差し掛かったことは間違いない。だが、冒頭の社会科学院の「報告」を読んでも、この報告の内容を伝える中国の主要メディアの報道を見ても、そろって危機意識がない。
中国で30年以上前から実行された一人っ子政策は確かに人口爆発を抑えた。一方でマイナスの副作用ももたらした。例えば、事故などでたった一人の子供を失った場合、親の老後の生活は不安定になってしまう。また労働力の急減、社会の急速な高齢化など、深刻なテーマも次々に浮上している。だがこうしたテーマについて、その対策などを中国で真剣に討論することはいまなお難しいのだ。
それ故に、出産奨励、人口増加に向けた政策もいまだに姿を見せないまま。この状態は中国経済の正常な発展にとって大きなマイナスといえる。
(在北京ジャーナリスト 陳言)