作家の竹田恒泰氏が、父で日本オリンピック委員会(JOC)会長の竹田恒和氏に対する仏司法当局の捜査について、「ゴーン逮捕の報復と見るのが普通」との持論を展開している。
捜査のニュースはくしくも、日産前会長のカルロス・ゴーン被告の追起訴と同じ日に明らかになった。恒泰氏に限らず、なんらかの関係を疑う声は決して少なくないが――。
疑惑は「事件にもならず終息」主張
「先ほど携帯いじっていましたら、Yahoo!ニュースのトップに父の顔が出てまして」――恒泰氏は11日夜、捜査の一報が入った直後に生出演した動画番組「言論テレビ」で、こう苦笑した。
各メディアの報道を総合すると、JOCの竹田会長には2020年の東京五輪招致に関する贈賄の疑いがかけられており、2018年12月から予審手続きが開始、竹田会長も聴取を受けたという。
息子である恒泰氏は「言論テレビ」の中で、一連の疑惑は「事件にもならず終息」したものとして解決済みとの見方を示し、このタイミングでの捜査に疑問をにじませた。そのうえで、キャスターを務めるジャーナリスト・櫻井よしこ氏から、ゴーン氏逮捕との関連性について話題を振られると、
「そういうの(報復)って、どちらかというと『民度』の低い国がやることかなと思っていた」
「フランスももしそういう感じ(報復)でやってるとしたら、あまりにも民度が低いんじゃないか」
と、報復か否かについての見方はひとまず留保しつつも、仏側への不満をあらわに。
天声人語も「意趣返しか。一瞬、そんな疑念も...」
恒泰氏はさらに翌12日にはツイッター上で、「報復」説に言及したニュースサイト「AERA dot.」の記事を紹介する。そして、
「JOCの案件は2年以上前から捜査されていて、結局犯罪を証明するものはまだ何も出ていない。この時期にフランスがこれを蒸し返してきたということは、ゴーン逮捕の報復と見るのが普通だろう」
と、改めて「報復」との見方を強くにじませた。
ゴーン氏の逮捕、および長期にわたる拘留は、日仏の懸案事項となっている。また、ゴーン氏追起訴と同じ日に捜査の一報が流れたこともあり、恒泰氏ならずとも、両者の関係を疑う声は、国内外で一定数存在する。たとえば、12日付朝刊の朝日新聞「天声人語」にも、こんな一節が。
「カルロス・ゴーン容疑者に対する捜査の意趣返しか。一瞬、そんな疑念もよぎってしまったが」
とはいえ、直後には「『江戸の仇を長崎で』式の単純な話ではあるまい」と否定している。
もっとも、否定的な見解も多い。恒泰氏も言及している通り、今回の不正問題は数年前から調査が進められていた。たとえば毎日新聞(ウェブ版)は政府関係者の「タイミングが偶然重なっただけではないか」との見方を掲載している。またロイター通信も、仏捜査関係筋の話として、「2つの事件に関連はない」と報復説を打ち消した。