第3次原政権の補強策が批判の的になっている。今オフ巨人はFA(フリーエージェント)で、炭谷銀仁朗捕手(31)と丸佳浩外野手(29)を獲得。FA以外では、岩隈久志投手(37)、中島宏之内野手(36)、クリスチャン・ビヤヌエバ内野手(27)、ライアン・クック投手(31)の獲得に成功したが、チーム編成における一貫性のなさにファンをはじめ、球界関係者の間でも疑問の声があがっている。
原巨人は当初、昨年辞任した高橋由伸前監督(43)の「若手育成」方針を引き継ぐ形でスタートを切った。若手に対して「大志を抱け」とゲキを飛ばすなど、メディアに向けて若手育成をアピールしていたが、実際のところは他球団を自由契約となったベテランを次々と獲得。これに加えて炭谷、丸、ビヤヌエバの獲得、そして一度は自由契約とした上原浩治投手(43)と再契約したことで若手の出場機会は減少の一途をたどっている。
「長年巨人で働いていた選手はかなりリストから漏れていた」
高橋前監督の方針に逆行するようなベテラン選手中心の補強となったが、FAの人的補償ではあっさりと投打の精神的支柱である生え抜きベテラン、内海哲也投手(36)と長野久義外野手(34)を放出。この2人が28人のプロテクトリストから漏れていた事実は衝撃を与えたが、広島・緒方孝市監督(50)によって明らかになったリスト内容は多くの巨人ファンを失望させた。
「若い選手はほとんどプロテクトされていたが、長年巨人で働いていた選手はかなりリストから漏れていた」
詳細は明かされなかったが、内海、長野の他にも何人かのベテラン選手がリストから漏れていたことになる。ベテランの補強から一転、ベテランのプロテクト外しに、ネットではチーム編成の全権を握る原監督に批判の矛先が向けられ怒りの声が殺到する事態に。
「原の独裁ぶりが改めて出たという事」
「巨人はチームの方向が狂ってるのかも」
「ナカジを取っている時点で若返りを目指しているようには見えないし」
「他球団でクビになった選手を?き集め、巨人で生え抜きのスター選手は放出ではどう考えても可笑しな話だ」
他球団の関係者は今回の一連の補強、流出劇を次のように説明した。
「補強で自滅しているようにしか見えない」
「巨人は原監督を招へいするにあたって、GM職を廃止するという異例の人事を行った。鹿取GMが退任に追い込まれた形だが、これは原監督に編成の全権が与えられたことを意味する。石井球団社長が編成本部長の職を兼務しているが、これはあくまでも表面的なもので実権は原監督が握っている。補強もプロテクトリスト作成もすべて原監督の意志によるものでしょう」
関係者によると、巨人ナインの動揺は今もなお収まっておらず、一部では指揮官に対する不信感も見られるという。今オフの巨人の補強について前出の関係者は失笑を漏らしながら語った。
「世間では大型補強と言われているが、むしろマイナス面が目立つ。生え抜きのベテランというのは、チームが低迷している時に精神面でチームを支える存在。その象徴ともいえる内海と長野の移籍は大きなマイナス。他球団からしてみれば、補強で自滅しているようにしか見えない」
5年ぶりのV奪回になりふり構わず突き進む原巨人。大型補強の代償はいかなる痛みを伴うのだろうか。