レスリング五輪3連覇の吉田沙保里さん(36)が2019年1月10日、東京都内のホテルで現役引退会見を開き、報道陣から数々の質問を受けた。
中には「変化球」の質問も飛び出し、場内の空気が緊迫する場面もあったが、吉田さんは丁寧に回答。その姿勢がインターネット上でも「偉すぎ」と称賛されている。会見に参加したJ-CASTニュース記者が、やりとりの一部を振り返る。
「(結婚の予定は)ないです」
約200人の報道陣が集まり大注目となった引退会見は、質疑応答中心で進められた。緊張が走った質問が、「日本人プロレスラーで初めて性同一性障害であることを公表した朱崇花(あすか)さんについてのご感想と、LGBTについてどのようにお考えか。それと、ご結婚のご予定はあるか」というもの。吉田さん自身についてではない質問も含まれており、顔を見合わせて驚く記者の姿も見られた。
吉田さんは「最初の2つの質問の意味がちょっとよく分からなかったのですが...」と一瞬困惑。だが3問目に対して再度聞かれると、
「(結婚の予定は)ないです」
と笑顔で即答。会場を一気に笑いに変えた。カメラマンらによるシャッター音が鳴り響いた。
その約5分後には「芸人の江頭2:50さんがずっと吉田さんの追っかけをしていましたが、吉田さんは江頭さんのことを意識していましたか?」と、やや突飛な質問が飛び出した。場内では大きな笑いが起きたほか、怪訝な顔を浮かべる記者もいたが、吉田さんは、
「毎回五輪の会場で映像を見た時に、後ろに全身金のタイツを着ているとか、何かしら目立つ格好をされていたので、私も気にしながら見ていました」
と丁寧に語り始めた。「あ、もちろん戦ってるときは全然気にならなかったですけど」と一笑いとった後、
「試合が終わって映像を見たときに、『江頭さん、会場まで来て応援してくれていたんだ』と改めて知って、本当にうれしく思いましたし、遠いところまで足を運んでいただけて本当に感謝しています。意識というのは...あまりしていませんでしたかね。でも、北京五輪の時は道場まで来ていただいたのは覚えています。すごく応援していただいているのは改めて感じました」
と、具体的なエピソードを交えて真剣回答。濃い内容に、記者たちのメモを取る手も進んだ。
「きちんと答える吉田選手はすごいな」
こうした吉田さんの切り返しは、テレビ中継を見ていたインターネットユーザーの間でも注目を集めた。ツイッターでは、
「それでもきちんと答える吉田選手はすごいな」
「おい、吉田沙保里の引退会見よ 江頭2:50のいい人エピソードを出すんじゃない あの人にとってそれはある意味営業妨害だぞw」
「江頭を意識してましたか?とか真面目に答える吉田沙保里偉すぎ」
と人柄を称賛する声が複数あがっている。
選手・指導者だけでなく、テレビにも盛んに出演してレスリング人気を支えてきた吉田さん。会見ではテレビ局から「キャスター含めてチャレンジしたいことあれば教えてほしい」と聞かれると、
「バラエティが好きで、笑っていることが好きなので、自分で言うのも何ですがキャスターよりもバラエティが向いているのかなと思いますね。いろんなことに挑戦できたらなという思いもあります。何かありましたらよろしくお願いします」
と回答していた。もし今後バラエティに本格進出したら...その「回答力」も再び発揮されるだろうか。