畑の中にぽつんと立ち、「727」と大きく数字が書かれた看板――新幹線の車窓から見て、なんだろうと思った人は多いだろう。
その看板を出している大阪市内の化粧品メーカーが、ウィキペディアの自社項目をそのまま載せた全面広告を新聞に出し、ネット上で話題になっている。
航空会社やパチンコ屋などと誤解されることも
「なんの会社かわかりにくいという声にお応えし、弊社Wikipediaをいったんそのまま掲載します」
2019年1月7日付朝日新聞朝刊に載った近畿2府4県限定の広告。そこでは、こんなキャッチフレーズとともに、ウィキペディアからのスクリーンショットが貼り付けられている。
広告主は、美容室に商品を提供して客に販売している化粧品メーカーのセブンツーセブンだ。
広告によると、新幹線から看板を見て、何かよく分からず、航空会社やパチンコ屋などと誤解されることも多かった。そこで、社内で検討を重ねた結果、「ウィキペディアを見てもらうのが手っ取り早い」との結論に達したそうだ。なお、著作権については、「Wikipediaを運営するWIKIMEDIA FOUNDATIONの了承を得た上で掲載しております」としている。
セブンツーセブンのサイト「727看板物語」を見ると、看板は、1979年から東海道新幹線などの沿線に設置され、5~7分間隔で1本見えるぐらいの割合である。デザインは経年変化しており、大小様々で大きいのは幅10メートルもある。現在は、「727 COSMETICS」と白地に赤い文字で書かれている。
創業者の誕生日の7月27日に由来
今回の広告について、報道関係者向けのニュースリリースでは、「新幹線から見えるあの『謎の看板』、もう謎とは言わせません」とうたってあった。
ネット上では、「そうそう!以前から気にはなってた」「大胆というか手抜きというか...」「この意味不明さが興味をそそることも含めて、広告としては大成功ですね」といった声が出た。
電機メーカーのシャープも、公式ツイッターで「アートディレクターとコピーライターの死。アイデアとWikiの生」と感想を寄せている。
一方で、「なんで727なん?」「思い出すのはどうしてもボーイング727」「パチンコ屋だと思ってた」といった声も依然として漏れていた。
セブンツーセブンの企画室は1月8日、「当然、今回の新聞広告だけで当社の事を理解いただいたとは思っておりません。まずは当社の事、当社の製品についてさらに興味を持っていただくきっかけになればと考えております」とJ-CASTニュースの取材にコメントした。
なお、セブンツーセブンという社名は、創業者の誕生日が7月27日だったことに由来しているそうだ。
(J-CASTニュース編集部 野口博之)