昨2018年末の格闘技イベント「RIZIN.14」で行われた那須川天心(20)VSフロイド・メイウェザーJr(41)戦の余波が続いている。UFCの元2階級王者コナー・マクレガー(30)が19年1月7日、自身のツイッターを更新し、那須川に対戦オファーをした。マクレガーは都内で総合格闘技ルールでのエキシビションマッチを要望。これに対して那須川は自身のSNSで「58キロ、キックボクシングルールなら近い将来どこかのリングで会えるかもしれません」と大人の対応で返答した。
「RIZIN.14」でメイウェザーと対戦した那須川は、1回2分19秒TKO負けを喫した。この一戦でメイウェザーが手にしたとされるファイトマネーはおよそ10億円。わずか139秒で獲得した莫大なファイトマネーに関して、年をまたいで世界各国で報じられ、その試合内容とともに賛否の声が巻き起こった。
「あなたはダイエットをして僕を待っていてください」
今回のマクレガーの対戦オファーは「二匹目のどじょう」を狙ったものと見られ、オファーの内容は挑発的かつ一方的なもので、夏の前に東京で総合格闘技のエキシビションマッチとしてある。当初、マクレガーはメイウェザーとの再戦を望んでいたが、年末の天心VSメイウェザー戦の映像を見たのか、ここにきて方向転換。突如として那須川に対戦オファーを出してきた。
マクレガーのオファーに那須川はSNSで「僕の名前を覚えててくれてありがとう。僕と戦うことを考えていることを光栄に思います」とツイートし、「僕は今年、RISE世界GPで戦います。だから、あなたはダイエットをして僕を待っていてください」と、普段70キロ以上あるマクレガーに対してやんわりと対戦拒否の姿勢をのぞかせた。
負けはしたものの、年末のメイウェザー戦で那須川の名前が世界に知れ渡ったのは事実。ただ、その一方で那須川の格闘家としてのポテンシャルよりも、メイウェザーが自身のファイトマネーを公言したことで、日本のリングは「稼げる場」として世界の格闘家の間で認識が広まったのも事実である。
「悪しき前例」となってしまうのか
今回は那須川自身が総合ルールでの対戦に否定的なコメントをしたことで、マクレガー戦の実現はほぼないと見られるが、今後、異種格闘技の格闘家から対戦オファーがくる可能性は十分に考えられる。格闘界関係者は、那須川の今後のキャリアの方向性について警鐘を鳴らす。
「メイウェザーとの一戦で世界中の格闘家が那須川と戦えばビッグマネーが稼げると勘違いしている。今回は異例中の異例の金額。当初、ペイ・パー・ビューの収入を見込んでのメイウェザーのファイトマネーだったので、それがなくなったので主催者は赤字の可能性もある」と指摘した上で、次のように続けた。
「もし今後、那須川が異種格闘技の路線に進めば、選手生命を脅かすことになりかねない。メイウェザー戦でも分かったように、世界トップの格闘家に対して、その競技のルールで戦えば惨敗は目に見えている。総合ルールなんてもってのほか。下手をすれば関節などをやられて選手生命が終わってしまう可能性すらある。今後のマッチメイクは慎重にいかないと、取り返しのつかないことになりかねない」
メイウェザー戦でボクシングの土俵に上がったことが「悪しき前例」となってしまうのか。今後、世界中の格闘家からの対戦オファーが予想される中、那須川が目指す方向性に注目される。