北朝鮮、「対米批判」復活のなか... 正恩氏「4度目訪中」の狙い

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   中国と北朝鮮の国営メディアは2019年1月8日、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長が1月7日から中国を訪問していると報じた。正恩氏が最高指導者として訪中するのは18年6月以来、約7か月ぶり4回目。正恩氏は18年6月の米朝首脳会談の前後に、3か月で3回というハイペースで訪中し、習近平国家主席と会談している。

   米朝は近く2度目の首脳会談を控えるが、非核化や制裁解除に向けた道筋は見えないまま。北朝鮮メディアが自粛してきた対米批判も復活しつつある。膠着状態の打開を求めて、中国の「後ろ盾」をアピールする狙いがあるとみられる。

  • 平壌から中国に向けて出発する金正恩・朝鮮労働党委員長。妻の李雪主(リ・ソルジュ)氏(写真左)も同行した(労働新聞ウェブサイトから)
    平壌から中国に向けて出発する金正恩・朝鮮労働党委員長。妻の李雪主(リ・ソルジュ)氏(写真左)も同行した(労働新聞ウェブサイトから)
  • 平壌から中国に向けて出発する金正恩・朝鮮労働党委員長。妻の李雪主(リ・ソルジュ)氏(写真左)も同行した(労働新聞ウェブサイトから)

「立派な成果」を期待

   正恩氏の訪中は中国国営の新華社通信と朝鮮労働党の機関紙、労働新聞が報じた。労働新聞は、正恩氏夫妻が1月7日に平壌を列車で出発する様子を写真つきで報じている。対米・対南協議を担当する金英哲(キム・ヨンチョル)党副委員長、外交トップの李洙?(リ・スヨン)党副委員長、朴泰成(パク・テソン)党副委員長、李容浩(リ・ヨンホ)外相、努光鉄(ノ・グァンチョル)人民武力相らが同行しているという。この5人は、18年6月の訪中の際も同行している。

   労働新聞によると、党や政府の幹部は「(正恩氏が)立派な成果を収めてなにとぞ無事に帰国すること」を願って見送ったという。「立派な成果」が具体的に何を指すかについての言及はないが、中朝首脳会談で対米関係を議論することを指している可能性もある。

   正恩氏は19年1月1日の新年の辞で

「朝鮮半島に恒久的で、かつ強固な平和体制を構築し、完全な非核化へと進むというのは、わが党と共和国政府の不変の立場であり、私の確固たる意志」

だと強調。2回目の米朝首脳会談への期待感を示す一方で、

「ただし、米国が世界の面前で交わした自分の約束を守らず、朝鮮人民の忍耐力を見誤り、何かを一方的に強要しようとして、依然として共和国(編注:北朝鮮)に対する制裁と圧迫を続けるならば、われわれとしてもやむをえず国の自主権と国家の最高利益を守り、朝鮮半島の平和と安定を実現するための新しい道を模索せざるを得なくなるかも知れない」

などとして、制裁が継続されれば非核化の方針を転換することに含みを持たせていた、

「米国が北南関係改善と発展を望まないことは、すでに歴史が証明した事実」

   1月3日付けの労働新聞では、さらに米国に対する不信感を鮮明にした。「北南関係は朝米関係の付属物ではない」と題する論説記事では、南北間の道路や鉄道の再開など、南北間で交わされた合意について、

「多くの合意が合意のための合意にとどまり、実質的な履行では様々な問題があった」

と指摘。その原因は「北南関係の改善にブレーキをかけてきた米国」にあるとした。その根本問題として、

「米国が北南関係改善と発展を望まないことは、すでに歴史が証明した事実である」
「昔も今も、米国の対(北)朝鮮敵視政策が少し変わっていない」

などと1回目の米朝会談前に戻ったかのような論調を展開した。

   2度目の米朝会談をめぐっては、トランプ大統領が18年12月1日、「(19年)1月から2月」に開かれるとの見通しを示し、19年1月6日には、開催地について「おそらく、近いうちに発表される」と話していた。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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