2019年は春の統一地方選に続いて夏の参院選、これに加えて衆院とのダブル選もささやかれる「選挙イヤー」だ。そこで野党にとって最もカギになりそうなのが、1人区での候補の一本化だ。
野党第1党の立憲民主党は、「一騎打ちの構図」の重要性を強調するものの、共産党が求める政党間協議には慎重な立場だ。2019年1月6日に各党党首が出演した「日曜討論」(NHK)では、共産党からは「協議を速やかに」という声もあがり、野党間の足並みの乱れも浮き彫りになった。
3年前は共産側が立候補を「断念」
16年の参院選では、32ある1人区の大半は共産党候補が立候補を断念する形で野党統一候補を擁立。共産党公認候補が野党統一候補になったのは香川のみだった。19年の参院選では、共産党は自らの候補を一方的に降ろす形での共闘は行わないことを決めており、「政党間の真剣な協議」を呼びかけている。
ただ、現時点では野党第1党の立憲民主党は、この呼びかけには距離を置いている。枝野幸男代表らが19年1月4日に三重県伊勢市内で開いた記者会見では、参院三重選挙区(定数1)で、岡田克也衆院議員らの地域政党「三重民主連合」が擁立する候補を支援する意向を表明。共産党との調整の見通しについて聞かれて
「少なくとも現段階では1人区を抱える都道府県ごとに、地域の中で何とか一騎打ちの構造を完全に作り上げることに向けて、それぞれ努力している状況だと承知している」
などと述べ、政党本部として協議に乗り出すことには引き続き否定的だ。
「3年前の参院選の経験を...」
1月6日の「日曜討論」では、
「そこ(1人区で一騎打ちの構図を作ること)に向けては野党第1党である私たちが一番汗をかかなければならないという風に思っている。若干歩みが遅いのではないかとご心配をいただいているが、3年前の参院選の時の経験を踏まえれば、決して遅れているとは思っていない」
などとして候補者一本化に自信を見せた。ただ、そのプロセスで政党間協議に応じるかは明言しなかった。
「年が改まって、ここから夏に向けて、それぞれ党の言い分、立場、主張というものを飲み込みながら、国民の皆さんの、特に安倍政権のこれ以上の横暴を許さない、そういう思いの国民の皆さんの声に応えられるような状況は必ず作れるという風に思っています」
「一刻も早く...」共産・小池氏にじむ焦燥
市民連合が18年11月に開いたシンポジウムでは、5野党1会派の幹事長や書記局長が出席し、立憲民主党の福山哲郎幹事長は
「1人区一本化の努力は野党第1党として惜しむつもりはない」
と発言。5野党1会派で一本化を進める方針を確認していた。
共産党の志位和夫委員長は番組の中で、シンポジウムで確認された方針に言及しながら、
「野党各党がテーブルについて、安倍政権の打倒と1人区の一本化で合意をする、その具体化のための協議を速やかに始める、そのことを強く呼びかけたい」
などと協議を急ぐように求めた。
番組では、国民民主党の玉木雄一郎代表、自由党の小沢一郎代表、社民党の又市征治党首も、参院1人区での一本化の必要性に言及している。共産党の小池晃書記局長は、放送後に
「党首で一致したのですから、もはや怖いものなし。一刻も早く協議に入りましょう!」
とツイート。政党間協議が始まらない現状への焦りをにじませた。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)