行き詰る「原発輸出」のこれから 国内再稼働への影響も

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   政権が進める「原発輸出」の旗色が悪い。

   日本政府と三菱重工業がトルコで、日立製作所が英国で、それぞれ進めている原子力発電所の建設計画が頓挫する公算が大きくなった。いずれも、建設費用が膨らんだためだ。安倍晋三政権は「成長戦略」に原発輸出を掲げ、官民一体で進めてきたが、これまでに中止になったベトナムなども含め、総崩れの様相だ。

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トルコ、英国で相次ぎ頓挫

   トルコの計画は、同国北部シノップ地区に原発4基を建設するもの。2013年、トルコで安倍首相とエルドアン首相(当時、現大統領)が会談、トルコの原子力エネルギーに協力する共同宣言に署名し、実現に動き出した。トルコ建国100周年にあたる2023年の稼働をめざしていた計画の事業費は当初、2.1兆円程度と見込まれていたが、2018年に入って、事業化に向けた調査で総額4兆円以上に倍増する見通しが判明し、雲行きが怪しくなった。東京電力福島第1原発事故を受けて安全基準が厳しくなったためだ。

   参加企業が事業費を負担して建設し、発電事業による利益で回収する仕組みのため、事業費が膨らめば電気料金を高くしなければ採算が取れない計算だが、トルコ側は当初想定に近い条件での事業化を望み、交渉が暗礁に乗り上げていた。関係者によると、12月1日に主要20カ国・地域首脳会議(G20)が開かれたブエノスアイレスでの安倍・エルドアン会談で、計画の実現が難しくなっているとの認識を共有したという。

   一方、英国の計画は、西部のアングルシー島に原発2基を新設するもの。日立は、中西宏明会長(経団連会長)が社長時代の2012年に現地の原子力事業会社「ホライズン・ニュークリア・パワー」を買収する形で参画し、2020年代前半の運転開始を目指していた。

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