今の夢は「世界王者を育てること」
小口さんが当初使用していた育毛剤が体質に合わず、以前のようなペースで体重が落ちなかったという。これに加えて、育毛剤を使用し続けた影響からか、以前と比べて筋肉が付きにくくなったと感じるようになったという。
「男性ホルモンの分泌に関係しているかもしれませんが、とにかくあの当時、いくらトレーニングをしても筋肉がつかなかった。それに比べて体重の減りがいつもより悪く、タイトルマッチの時は最後の1キロがなかなか落ちず、完全に減量失敗でした。これに加えて闘志が全く沸いてこなかった。やっぱりボクシングは闘志がなかったら勝てませんから。なんか気持ちが優しくなってしまったような不思議な感じでした」
タイトル戦後は1敗1分けで、2011年4月の試合を最後にリングから離れた。ただ、小口さんに引退の意志はなく、ジム通いは続けていたという。「いつかまたリングへ」との思いを抱きながら練習を続けたが、やはり体調が戻ることはなく、ボクサーの定年である37歳を迎えた2014年に自動的にライセンスを失効した。
私生活では2012年10月に千夏さんと結婚。現在は運送業に携わる傍ら、千夏さんの父親が経営するもつ料理店「大松」(東京都足立区竹の塚)を手伝っている。
「プロボクサーとして一番印象に残っているのは、当たり前ですけどあのカツラがばれた試合です。一番悔やまれるのは日本タイトル戦です。自分の中では、はっきりと引退したつもりはないですけどボクサーには定年がありますから。今ではそれを受け入れてます。髪の毛も今じゃここまで後退してしまったし」
どこか恥ずかしそうに顔を赤くしながら頭をたたいた小口さん。今の夢はボクシングのジムを開いて世界王者を育てること。髪の毛はもう諦めたという。