「髪の毛がふさふさになることはなかったですね」
20代に入ってから抜け毛が多くなったという小口さん。なぜカツラを装着してリングに上がったかといえば、その答えは単純明快で「格好良く見せたかったから」。事件発覚後、さすがにカツラを装着して戦うことはなかったが、パフォーマンスの一環として、入場からカツラを装着してリング上で取り去って観客席に投げ込むのが恒例となった。
このような「努力」の甲斐あって、現役中にいくつかの育毛剤の会社がスポンサーについた。頭皮に液状のものを刷り込むものもあれば、頭部に直接注射するケースもあったという。多少の効果はあったらしいが、期待したほどでもなかったらしい。
小口さんは自らの頭部を記者に向けて丁寧に説明してくれた。
「色々な会社から育毛剤を頂いたり、注射したりしましたが、自分の場合、あまり効果はなかったですね。髪の毛が生えるというよりも抜け毛が減るという感じ。どっかの広告宣伝じゃないですけど、髪の毛がふさふさになることはなかったですね」
テレビ出演にスポンサーがつくなど、世界王者顔負けの環境にいた小口さんだったが、本業のほうでは結果を出せずに苦しんでいた。カツラ発覚から4年目の2009年10月10日、小口さんにようやくチャンスが巡ってきた。自身初となる日本タイトルマッチ。日本スーパーフェザー級王者に挑んだ一戦は今でも悔やんでいるという。
タイトル戦では1回と2回にそれぞれダウンを喫し、序盤で大勢は決した。持ち前の打たれ強さでKO負けこそ逃れたが、結果は0-3の大差判定負け。「言い訳はしたくないけど」と前置きした上で、小口さんは「減量に失敗したことが全て」と振り返った。