仲介業者の言うことを「そのまま信じる」日本人
一方、人手不足をはじめとした人権費の高騰などから、新築住宅の価格は上がっている。「都心のマンションなどは、大企業のエリート社員ぐらいしか手を出せない状況」(不動産関係者)とされ、新築を買えない人たちが中古住宅に目を向けていることもある。
さらに、若い人の意識の変化も大きい。仲介業を営むある不動産関係者は「今の若い世代は『シェア』が当たり前になっており、中古も新築もこだわらなくなっている」と話す。 ただ、欧米のレベルまで高まるかについては疑問の声が圧倒的だ。米国などでは徹底されている住宅診断を進んで受けようという意識は不動産業界にも消費者にも薄いとされる。「消費者の性善説は強く、仲介業者に言われたことをそのまま信じて購入する人はいまだに多い」と話す不動産関係者は少なくない。
2019年10月に予定されている消費税率引き上げに向け、政府は新築住宅の優遇策を打ち出しているように、国全体としても、いまだに新築志向を後押ししている側面が強い。「日本人は新しいものに飛びつく傾向が強く、政府の施策もあって、新築志向が消えることはないだろう」(不動産関係者)との見方も多い。
現状のままでは、中古住宅の一段の拡大への壁は高い。