2019年1月2日、東京・秩父宮ラグビー場で行われた大学選手権で、日本チームスポーツ前人未到の「10連覇」を目指した帝京大が、7―29で敗退した。帝京大の大学選手権連覇は「9」で止まった。
「関西のオールブラックス」を相手に、22点差...
赤いジャージ、黒のパンツという大学ラグビー絶対王者の帝京大が、漆黒のジャージに身を包んだ「関西のオールブラックス」こと天理大に、よもやの完敗を喫した。
FW(フォワード)の平均体重では、帝京大が106・9キロ。一方の天理大は97・1キロと、約10キロの差があった。しかし序盤2分半過ぎのスクラムから、帝京大は相手の低く鋭い「姿勢」に大苦戦を強いられた。
肉弾戦のスポーツであるラグビーにおいては、基本的に大きい選手をそろえるチームが優位であることは間違いない。一方で、スクラムにおいては、身長のある選手は「腰高」な分だけ、相手の「下」からのパワーをこらえ切れない...といった局面も、よく見受けられる。
この試合が、まさにそうだった。
体格に勝る帝京大は、パワーで天理大を押そうとした。しかし、しっかりとパック、バインド(味方の選手に体を寄せて一体となること)する天理大。しかも、下から突き上げてくるようなスクラムだった。
「押す」「引く」は逆だが「綱引き」を思い出していただきたい。いかにパワーに自信があっても、腰の低い姿勢を保った相手は、なかなか崩せないものである。
ここに、帝京大の「誤算」があったのかもしれない。
自分たちが優位だと思ったスクラムも、相手に組み止められてしまう。そんな中で、天理大のLO(ロック)アシペリ・モアラ、NO.8のファウルア・マキシ、そしてCTB(センター・スリークオーター・バックス)のシオサイア・フィフィタといった外国人選手を自由にさせてしまった。
体格に勝る帝京大だったが、周囲の選手の低いプレー、逆に相手3外国人選手へのディフェンスが、完全に後手に回った。その「微差」の積み重なりが、80分間を戦った結果であった。
相手の「V10」を阻止した試合後、スタンドで涙ぐむ帝京大の選手たちに対し、天理大のHO(フッカー)島根一磨主将(4年)は、
「しんどい状況は、絶対にある。でも、しっかり体を動かして、自分たちのラグビーをしていくことができた。ただ目標は(大学)日本一です。ひたむきにやっていくだけ」
7年ぶりの大学選手権決勝進出へ、勝って兜の緒を締めた。
また、天理大を率いる小松節夫監督は
「うれしかったです。前半は風下だったが(選手たちが)我慢して、頑張りました。今まで(帝京大には)勝ったことがなかった。すばらしい規律の取れたチームに勝てたことを、うれしく思う。(7年ぶりの大学選手権決勝に向けて)チャレンジャーという気持ちで、精度を上げてやっていきたい」
因みにチームスポーツとしては「巨人V9」が有名だが、ラグビー界では「新日鉄釜石V7」「神戸製鋼V7」を超えたのは、帝京大が初めてだった。
決勝は今月12日、同じく準決勝で早大を破って22季ぶりの優勝を目指す明大と相まみえる。