取材「合戦」ではなく「協働」へ ジャーナリズムに広がる新たな試み

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いきなり自分からツイッターで連絡

   4月刊行の『ルポ タックスヘイブン――秘密文書が暴く、税逃れのリアル』 (朝日新書)も、大手マスコミの「協働」を象徴している。「パナマ文書」に続く「パラダイス文書」の報道にあたっては、67か国の96報道機関で構成する国際調査報道ジャーナリスト協会(ICIJ)が仕切っていた。日本では朝日新聞、共同通信、NHKが加わっている。

   本書の著者は朝日新聞ICIJ取材班となっているが、NHK、共同通信との共同取材だったので、本書の中でも、3社の鼎談で分担や協力の様子が紹介されている。

   12月14日発売の『安倍政治 100のファクトチェック』(集英社)はさらに進んでいる。著者の一人、望月衣塑子さんは東京新聞記者。もう一人の南彰さんは朝日新聞記者で現在は新聞労連委員長。本来はライバル関係にある二人が協力し、この数年の政治家や官僚たちの国会などでの発言が「ファクト」かどうか再確認している。会社公認の作業なのかは明言していない。

   8月刊行の『スノーデン 監視大国 日本を語る』(集英社)の中で米国国家安全保障局(NSA)および中央情報局(CIA)の元局員だったエドワード・スノーデン氏は、強まる一方の国家による情報統制に対抗するため、「メディア全体が協力する」ことを求めていた。

   『日報隠蔽』の三浦さんは、以前から布施さんのツイッターを読んでおり、いっしょに本を作れたら面白いんじゃないかと、いきなり自分からツイッターで面識のない布施さんに連絡したことを明かしている。ネットの進展が、今後も立場を超えた「協働」を広げる可能性がある。

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