「JAPAN NAVY」――。韓国側が今、過敏に反応しているのは、この9文字だ。レーダー照射問題は発生から10日を迎え、解決の糸口を見出すどころか、ますますこんがらかり続けている。
政府が2018年12月28日公開した海自哨戒機「P-1」撮影の動画は、内外に大きなインパクトを与えた。
むしろ哨戒機の「接近」とがめる論調強く
「あー出してます。FC系(編注:火器管制レーダー)出してる」「THIS IS JAPAN NAVY、THIS IS JAPAN NAVY」――搭乗者の肉声も含むこの生々しい動画は、国内では日本側の主張を裏付けるものとして、広く受け止められている。
だが韓国側の評価は真逆だ。「客観的証拠としてみなすことはできない」とした国防省報道官をはじめ、特にメディアでは、むしろ日本側の「非」を明らかにしたものだ、という主張さえ少なからずみられる。
たとえば、韓国大手紙・中央日報(ウェブ版、以下同じ)は「韓国軍関係者」が件の映像を分析した結果として、哨戒機が駆逐艦「広開土大王」に「500メートルの距離まで接近し、150メートル上空で威嚇的に飛行した」との見解を載せ、これは北朝鮮船の救助を妨害する「非紳士的な行動」だと断じた。
日本側は動画の中でも、「国際法や国内関連法令で規定されている高度及び距離以上で飛行」している旨のテロップを表示し、こうした主張に反論している。だが韓国メディアでは、日本側が根拠として挙げる「規定」は今回のケースでは当てはまらないとして、「(日本側は)国際法を理解していない」といった議論も上がる(韓国のテレビ局JTBCなど)。
日本側の「意図」読もうとする韓国
それに加えて、韓国側からの言及が目立つものがある。駆逐艦へ通信を試みた際の、「THIS IS JAPAN NAVY」という海自側の名乗りだ。前述の中央日報が、
「日本が(中略)『This is Japan Navy(こちらは日本海軍だ)』として自分たちを『海軍』と称したのも安倍政権の指向が投影された呼び方という分析も出ている」
との見方を示したのをはじめ、東亜日報系のケーブルテレビ局「チャンネルA」は、国防省の関係者談として、日本が自ら「NAVY」を名乗るのが公開されたのは「初めて」であり、「背景と意図を分析している」。さらに続けて、「軍隊を持つことができる『普通の国』を夢見る、日本の野心が明らかになったとの分析も出ている」、とした。
通信社「ニュース1」も、このような表現を使うことには「意図が隠されている」との軍関係者の声を掲載する。
海上自衛隊の正式な英語名は「Japan Maritime Self-Defense Force (JMSDF)」。一方、NAVYは「海軍」なので、直訳すれば「日本海軍」となる。韓国側の反応はこうした点を指しているものとみられる。
なお、過去の朝日新聞記事(2017年10月19日付朝刊)にある海自自衛官の談話によれば、以前から、「(多国籍軍での)任務中には無線で『ジャパン・ネイビー(日本海軍)』と自称する」という。