ゆうちょ銀行「強行突破」の思惑 貯金限度額引き上げの「先」にあるものとは

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ゆうちょ銀行は「第2の日銀」か?

   ゆうちょ銀行の親会社である日本郵政の長門正貢社長は2018年12月27日の記者会見で、貯金限度額の引き上げについて、「もっと貯金を集めたいとは一度も言ったことはない」と語ったうえで、民間金融機関などが懸念する資金の急速な流入は起こらないとの考えを示した。まるで、「ゆうちょ側が求めたわけではない」とでも言いそうな気配すら感じられる。

   たしかに、銀行や信用金庫はマイナス金利の影響もあり、資金運用に腐心している。貸出先も潤沢とは言い難い。それも、地方の金融機関ほど経営が難しくなっている。

   そもそも、ゆうちょ銀行は法人融資を行っていない。融資が認められているのは、個人ローンの一部だけ。ここにも「民業圧迫」の声はあるが、金融庁がゆうちょ銀行の審査能力への不安などを理由に突っぱねていることもある。

   その一方で、わずかとはいえ貯金している人には利息を払わなければならない。貯金限度額の引き上げは、自身のクビを締めることにもなりかねないわけだ。

   では、「今、なぜ引上げなのか」――。別の地方銀行の幹部が、こう解説する。

「政府も、おそらく日銀も、そろそろ金融緩和の出口を手当しなければマズイという空気になっているのでしょう。日銀が保有する株式や投資信託、国債をどうしていくのか、考える必要があります。これまで(マイナス金利以前)も、そして今後もゆうちょは、民間金融機関とともに国債の大口の引き受け手であってほしいことに変わりはない。株式や投信もそうです。これなら、(限度額の引き上げを)急ぐ理由もわからないではありません」

   つまり、ゆうちょ銀行には「第2の日銀」としての役割が、待っているということか――。

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