ファミリーマートに新たなスマートフォン用電子マネーが導入される。「ファミペイ」と名付けられたそのサービスは、2019年7月をめどにお目見えする予定だ。ユニー・ファミリーマートホールディングスが18年12月28日、J-CASTニュースの取材に明かした。
ここ数か月で、スマホ決済業界は大きく動いている。ファミマでも使える「PayPay(ペイペイ)」の大盤振る舞いは記憶に新しいが、多くは加盟店を増やし、その勢力を広げる方向に舵を切っている。そこに来ての「囲い込み」戦略は、どんな一石を投じるのだろうか。
「囲い込みが進み過ぎると不便」
ファミマでは、18年11月からスマホのバーコード決済サービスを順次導入。現在はPayPay、LINE Pay、楽天ペイ、d払いが使え、19年1月下旬をめどに、中国地盤のAlipay(支付宝)、WeChat Pay(微信支付)にも全国的に対応する予定だ。
そこに加わる「ファミペイ」は、スマホアプリを用いたバーコード決済で、購入額に応じてキャッシュバックされる。それ単体でのポイント付与はないが、Tポイントなどとの連携も予定。ファミマ以外に、ドン・キホーテでの導入も協議中だという。
新アプリの「ファミペイ」は、現在配信中のアプリをリニューアルする形で誕生する。これまでの「ファミリーマートアプリ」は、モバイルTカードのバーコード表示機能を持っている。もし、ひとつのアプリでTポイント付与と決済が完結できるとすれば、利便性は向上するだろう。新アプリは、22年度中に1000万ダウンロードが目標だ。
独自でポイントや決済サービスを始めると、事業者側は自由に使える顧客データが増える。一方でユーザーからすれば、チェーンごとに異なるアプリを入れて、都度使い分けるのは面倒だ。ツイッターでは「囲い込み」への懸念が、少なからず出ている。
「各社独自決済やめてほしい」
「互換性のない決済手段ばかりでうんざり」
「囲い込みが進み過ぎると不便。山小屋でも使える現金最強」
ローソン&セブンの動向は
消費者の気持ちを知ってか知らずか、コンビニ主要3社はいずれも、独自スマホ決済の導入を進めている。先行するのは「ローソンスマホペイ」だ。18年春に実証実験され、11月22日時点では11店舗で利用可能。18年度末までに100店舗での導入を目指している。
このサービスの特徴は、客みずからがスマホで商品バーコードを読み取り、レジに並ばなくても決済できること。ポイントやキャッシュバックといった金銭面ではなく、「時短」をアピールすることで、差別化を図っている。
セブン&アイ(7&i)グループも6月、スマホ決済事業の新会社「セブン・ペイ」を設立した。公式サイトには現在、「2019年サービス開始予定! 新スマホ決済サービス」とのみ書かれているが、これも同様に、加盟店はセブン‐イレブン系列がメインになる可能性が高い。
消費者にとっては、どこのお店でも、ひとつのアプリで決済できるに越したことはない。いかに「不便さ」を乗り越えられるメリットを提供できるかに、生き残れるか否かがかかってきそうだ。
(J-CASTニュース編集部 城戸譲)