米国の株安を受ける形で、日経平均株価も急落している。ここで、永田町で注目されているのが2019年10月に予定されている消費税率引き上げの「リーマン・ショック級の事態が起きない限り」という条件だ。
仮に最近の経済状況を政府が「リーマン・ショック級」だと認定すれば、3度目の税率引き上げ見送りへの道が開かれる。そうなれば「判断を変更したことに対して信を問う」として、「衆院解散→ダブル選」というシナリオが現実味を帯びてくる、というわけだ。現時点では野党は参院選に向けた1人区での候補者調整を進めている段階で、仮にダブル選になれば大きな打撃になりそうだ。
「これまでのお約束と異なる新しい判断」で参院選に大勝した過去
菅義偉官房長官は2018年12月25日の記者会見で、「経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)は堅調だ」とした上で、「リーマン・ショック級の事態が起きない限り」消費税率は予定通り引き上げると話した。
だが、永田町では「2度あることは3度ある」との声がくすぶり続けている。安倍晋三首相は1回目の増税見送りの際は「再び延期することはない」ことを「断言いたします」と言い切ったが、16年6月に「世界経済の不透明感」を背景に、消費増税は「内需を腰折れさせかねない」などとして再度の延期を表明。安倍氏は
「これまでのお約束と異なる新しい判断。『公約違反ではないか』とのご批判があることも真摯に受け止めている」
などと説明した。安倍氏によると、ダブル選も検討したものの、16年4月の熊本地震の影響を考慮して見送った。その結果、消費増税も争点になった16年7月の参院選で与党が改選数の過半数を確保し、大勝した。こういったことが繰り返されるのではないか、というわけだ。
国民民主党の玉木雄一郎代表も、そんな一人だ。18年12月26日の会見で、株安については
「大変心配をしている。一言で言えば、他力本願で、特に米国経済に異存してきたアベノミクスのメッキがはがれつつあるのではないか」
などと懸念を示した。
「あくまで政治的に、選挙に有利か不利かで考えているんじゃないですか?」
一方で、16年の2回目の増税延期時の経済状況が「リーマン・ショック級だったかと言えば「全然そんなことはなかった」として、
「政府の言う『リーマン・ショック級』というのは良くわからないんですよね」
とも話した。実際の経済状況にかかわらず、「リーマン・ショック級」を方便に解散総選挙に突入する可能性を警戒したわけだ。
「だから今回も、先延ばししたいときは先延ばしするし、そのままいくと思ったらそのままいくし...。あまり経済のことは、考えているようで考えていないんじゃないですかね。あくまで政治的に、選挙に有利か不利かで考えているんじゃないですか?残念な話ですけどね」
玉木氏は
「衆院選は常在戦場なので、同日選ということも当然視野に入れながら準備を加速していかなければならないと思っている」
とも話し、
「協力できるところは協力できるという枠組みを早めに整えないと、まさに整っていないところを狙って、官邸が解散を打ってくるということも十分あり得る」
などとして小選挙区での候補者調整を急ぎたい考えだ。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)