韓国海軍の駆逐艦が海自機に火器管制レーダーを照射した事案では、日韓の言い分がことごとく食い違っている。
韓国側は、海自機が接近してきたため、レーダーではなく「光学カメラ」を向けたと主張する一方で、日本側は「火器管制レーダー特有の電波」を照射されたと主張。日本側からの呼びかけに応じなかった理由として「電波が弱かった」とする主張する韓国側にも、日本側「(電波が)微弱だったことはない」と反論している。
韓国メディアからは、そもそもの任務だった北朝鮮漁船の捜索のためには火器管制レーダーの使用はやむを得なかったとの見方もあるが、それでも韓国側の一連の対応は「失策」だとの声があがっている。
三次元レーダーと光学カメラは使ったが...?
防衛省は2018年12月21日、能登半島沖で20日に海自厚木基地所属のP-1哨戒機が韓国海軍の「広開土大王(クァンゲト・デワン)」級駆逐艦から火器管制レーダーを照射されたと発表。レーダー照射は射撃直前に行う行為だとして韓国側を非難した。
韓国側は火器管制レーダーの使用を否定している。12月23日の段階で中央日報が「複数の消息筋」として報じた話では、駆逐艦は、漂流中の北朝鮮漁船の捜索・救助作戦を展開中に海自機が接近してきため、これを識別するために電子光学追跡装置(EOTS)を作動させた。このETOSは光学カメラに赤外線装備をつけた装備で、悪天候や夜間に遠く離れた物体を把握するときに使い、問題になった射撃統制レーダー「STIR-180」に装着されている。カメラを使おうとEOTSを海自機に向けたが、STIR-180から電波は出していない、という主張だ。一方で、三次元レーダーの「MW-08」は「精密な探索が可能になり、救助活動にもよく利用する。悪天候時にも利用するレーダーだ」(キム・ジンヒョン予備役海軍少将)として、稼働させていたという。さらに、「別の軍消息筋」は、
「威嚇飛行をしたのは、むしろ日本の海上哨戒機」「無線で国籍と正体を明らかにしなかった」
などと日本側を非難したという。
国防省のイ・ジンウ(李振雨)副報道官は12月24日の会見で、
「日本の哨戒機を追跡する目的でレーダーを運用した事実はない」
などと発言した。この会見で、日本側の呼びかけに応じなかった理由については、韓国側が、
「電波を弱く雑音がひどかった。『コリアコースト』(Korea Coast Guard=韓国海洋警察)という単語しか判別できなかった。遭難船の救助で、周辺にいた海洋警察の船を呼んだのだと考えた」
と説明していた。