新聞各紙は冷ややかな論調
ただ、「こうした政治的力関係だけで税制を決めるのは危うい」(税制学者)ともいえる。税金は多くの利害が絡むだけに、冷静な議論が難しい宿命があり、昔から自民党税調でも、大方が納得する「理屈」が重視されてきた。このため、新聞の社説も、今回の決定には冷ややかだ。
日経は議論さなかの11月10日の社説で「政府は地方創生の柱として地方移転に取り組んでいるが、成果は乏しい。それを糊塗(こと)するのが今回の改革案ではないか」と疑問視。法人地方税、特に事業税は景気変動で大きく振れる可能性があり、リーマンショック後の2009年度には都の2税の税収が前年度から4割も減った例もあることから、税制改正大綱決定後の都内版の解説記事では、景気変動に税収が左右されにくい地方消費税を厚くして地方の財政基盤を整えることなどを推奨。読売も12月6日の社説で、「多くの人口を抱え、今後、災害対策や高齢化対応に多額の予算が必要になろう。これまで再配分を甘受してきた都が不満を募らせている事情も理解できる。そもそも、極端な偏在を生じさせない地方税体系に改めることが求められている。間接税である地方消費税は直接税の地方法人課税より、地域ごとの格差が小さい特徴がある」と、地方消費税重視を訴えている。
小手先の数字の調整でなく、地方税体系の抜本的な見直しが必要な時期に来ていると言えそうだ。