都も「危険」は察知していたが
税制全体では、主要国税の一定割合を地方に配分する地方交付税があるが、政府は地方税を含めた偏在是正が必要として、2008年度から法人事業税の一部を国庫に入れ、税収の少ない地方に配分。2014年度からは法人住民税のうち約6000億円を国が吸い上げて再配分してきた。このうち、法人事業税については消費税率を10%に引き上げる時点で再配分の仕組みを廃止、法人地方税は消費税増税に合わせて再配分の割合を拡大することになっていた。
今回、法人地方税は予定通り再配分を拡大する一方、法人事業税の再配分をなくす方針を撤回し、改めて新たな仕組みを導入することにした。具体的には、全国で総額6兆円になる法人事業税のうち3割を国税にし、人口数に応じて都道府県に再配分する。都は人口の集中度より税収が多いため、再配分により約4200億円の減収になる。法人地方税の再配分拡大の5000億円を合わせ、都の減収は9000億円規模になる。
他に大阪府と愛知県も各200億円程度の減収になる一方、大都市でも神奈川、埼玉、千葉県は100億円単位で増収になる見込みという。
都も「危険」は察知していた。